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【特集】リアルに「道草を食う」女性 身近な植物の魅力を伝える活動 岡山

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 皆さんは子どものころ、雑草を摘んで遊んだ経験はありませんか? 「雑草」が持つ魅力に引き込まれ、岡山県を拠点にユニークな活動をしている人物を取材しました。

雑草のおいしい食べ方を日々探究

 目の前に海が広がる、岡山県笠岡市の廃校を活用したシェアアトリエ「海の校舎」。この場所を拠点に活動している、その名も「Michikusa(みちくさ)」さんです。

(Michikusaさん)
「(Q.どんな活動をしているんですか?)主に雑草と呼ばれる、私たちにとって身近な植物の魅力を伝える活動をしています」

 Michikusaさんは、海の校舎の一角にアトリエを構え、雑草を使ったリースや壁飾りなどの作品を制作しています。

 目で見て楽しむ作品ももちろん魅力的ですが、Michikusaさんにはもう1つ、大切にしている活動があるんです。

(Michikusaさん)
「雑草って食べてもおいしいので、おいしい食べ方のワークショップとかをしています。(Q.リアルに道草を食っている?)はい、食べて……道草を食っております」

 そう、Michikusaさんは身の回りにある雑草のおいしい食べ方を、日々探究しているんです。

 2023年には著書『道草を食む』(CCCメディアハウス刊)を出版。約20種類の雑草の豆知識やオリジナルのレシピを紹介しました。

(Michikusaさん)
「最初は正直勇気がいったんですけど、始めてみたら思っていた以上においしいし、楽しいことが多くてそこからどんどんのめり込んでいった感じです」

 そんなMichikusaさんの活動に同行してみると……。

(Michikusaさん)
「(Q.海の校舎はヤギがいるんですね)そうなんですよ、草刈り隊長としていてくれるんです。(Q.でも雑草食べるんじゃないですか?)そうなんですよ。たまに『その草、欲しかったな』っていう草を先に食べられちゃうことがあるんですけど、彼の方がスペシャリストなんで、私の方が後輩としていろいろ学ばせてもらってます」

身近にあるおもしろい草たち

(Michikusaさん)
「冬なんでなかなか寂しい姿をしているんですが、さっそくおもしろい草があるのでご紹介したい。これがカタバミという雑草。暖かくなってから芽吹く植物もたくさんあるんですけど、冬場も光合成を行いながら、春一番に花を咲かせたいという生存の知恵みたいなものもすごく工夫があっておもしろい」

 ちなみに、このカタバミで10円玉を磨いてみると……。

(記者)
「分かりますかね、ここ。10円玉がきれいになってます」

(Michikusaさん)
「シュウ酸という酸の成分がサビを落としてくれるんです。なので別名、ミガキグサという」

 ちなみに、雑草を摘むときには、立ち入り禁止の場所や許可が必要な場所ではないかなど、事前に確認が必要です。

 ……と、ここで私たちにもなじみのあるあの雑草を、枯れ草の中から発見。

(Michikusaさん)
「これが去年の冬に花が咲いた後の株でその根元を見てもらうと、ヨモギですね。『ヨモギって花咲くの?』ってよく言われるんですけど、こんなに大きな花が咲く」

「これはスイバですね。その名前の通り、かじるとすっぱいので『スイバ(酸い葉)』という名前が付いたタデ科の植物。ヨーロッパでは野菜とかハーブとして食べられていて、冬場は日当たりのいいところだと(葉が)赤くなるのが特徴」

雑草が食卓を彩る一品に

 幼い頃から雑草に興味を持ち、知識を深めていくうちに、雑草が食べられることに興味を抱いたMichikusaさん。

(Michikusaさん)
「いろんな草の名前を覚えていくうちに、図鑑に『食べられる』『食べられない』という表記が載っている図鑑があって。すごいクセが強い雑草、そのクセの強さをなんとかして料理の香りづけとかおいしさとして生かせないかと考えて、それが狙い通りにうまくいった瞬間とかすごくうれしい気持ちになりますね」

 Michikusaさんの手にかかれば、どこにでも生えている雑草が食卓を彩る一品に。

(Michikusaさん)
「雑草が絡むと急にやる気のスイッチが入って、なんとかおいしく食べてあげたいみたいな、そういう気持ちになりますね」

「これはこのまま新芽を集めて湯がいて食べると豆苗のような味わいがして、すごい量を集めないといけないんですけど、豆を集めてごはんに混ぜて食べると豆ごはんに。プチプチした食感がしてすごくおいしい」

 これまで40種類以上の雑草を食べてきたというMichikusaさん。中でもイチオシは……。

(Michikusaさん)
「やっぱりスベリヒユですかね、夏に生える雑草なんですけど、風味はホウレンソウだし、酸味とぬめりがあるところがツルムラサキという野菜に似ていて、食べ慣れた野菜のいいところをたくさん蓄えた味わい」

(Michikusaさん)
「1人でためておくのがもったいないという気持ちがあったので、そういう仲間を増やしたい」

「個性を生かして」雑草を調理

 今回は、先ほど摘んだスイバとヨモギを調理してもらうことに。雑草は、信頼できる図鑑などで食べられるかどうかを必ず確認し、よく水洗いして、火を通すようにしましょう。

 スイバと塩で作ったペーストは、何かに似ている気がしませんか?

(記者リポート)
「見た目が赤いというのもあるんですが、『梅肉です』と言われて出されたら、そのまま食べてしまいそう」

(Michikusaさん)
「ドイツの友人が、酸味のある野菜なんですけど、ルバーブを使って梅肉ペーストを作ってたんです、ドイツに梅干しがないからって。それを聞いて、だったらスイバでも作れるかな、やってみたら『しめしめ』と、思った通りの味が再現できた」

 ちなみに、塩の代わりに砂糖を加えて煮詰めると、パンにぴったりのジャムに。

(記者リポート)
「葉っぱの食感も感じられて、酸味もちょっと生かしながらおいしいジャムになっている」

(Michikusaさん)
「草の持っている個性を生かして調理する」

 草餅のイメージが強いヨモギは、ジャガイモ、玉ねぎ、コンソメ、生クリームなどを加えてなめらかなポタージュに。

(記者リポート)
「ほんのりヨモギが香ります。ヨモギ餅一択だったんですけど、ポタージュにしてもおいしいんですね。乳製品との相性も意外とよくて」

(記者)
「草が持っているポテンシャルが感じられて新しい世界が見えた」
(Michikusaさん)
「どうしてもハードルが高い方が多いと思うんですけど、おいしく食べることができるんだということをいろんな人に知ってもらいたい」

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