岡山大学学術研究院医歯薬学域(医)放射線医学の平木隆夫教授らのグループは27日、がんの低侵襲治療に用いる針穿刺(せんし)ロボットを開発し、治験において全例で成功したと発表しました。
医師が手で行う場合と遜色のない精度で針を刺すことができることを示し、CT画像でガイドする際に医師が被ばくするリスクを解消できる可能性があるとしています。
研究成果は4月4日にアメリカの放射線医学雑誌「Radiology Advance」に掲載されました。
がんの局所治療として、病変に針を刺して行うラジオ波治療や凍結治療などがあります。その際、CT画像などでガイドしながら正確に病変に針を刺す必要がありますが、CTは撮影時にX線を出すため、医師が直接手で行う場合には被ばくするという欠点があります。
岡山大学は2012年から医学・工学連携で、遠隔操作で針を刺すロボットを開発してきました。2020年から2023年にかけて患者11人ずつにロボットによる遠隔操作と医師による手技でがん低侵襲治療を行う治験を行ったところ、ロボット遠隔操作の11例全てで成功し、医師の手で行う場合と遜色のない精度で針の穿刺ができることを示したということです。
CT画像で体内の状態をリアルタイムに確認しながら針やカテーテルを用いる低侵襲治療は、外科手術より患者の負担が少なく、回復が早いということです。
平木教授は「今後はロボットの機能をさらに進化させて、実用化にむけて取り組みたい」と話しています。