先月30日未明、東京・練馬区大泉町の住宅で強盗事件が発生しました。またしても首都圏で起きた住宅での強盗事件。被害に遭った68歳の男性が犯行の一部始終を語りました。
この男性は事件の2カ月ほど前、自宅を訪れた大阪府警の関係者を名乗る男に、多額の現金をだまし取られたと話しています。関連はあるのでしょうか。
■「殺されるかと」男2人逃走中
2階のベッドで寝ていたところをいきなり襲われたといいます。
強盗被害に遭った住人(68) 「早く横になって、YouTubeとか見ながら横になっていた。寝込んじゃって、懐中電灯がパッと照らすような感じがあって、上にのしかかられて首を絞められた。殺されるかと思った。枕に顔を押し当てて窒息死させるような形」
家に押し入った2人の男は、男性の顔を無言で殴りつけるなどの暴行を加えました。男性の目元は、紫色に腫れあがりいくつもの生々しい傷が残されています。
犯行の直後、近くの防犯カメラには走り去る2人の男の姿が映っていました。白っぽい服の男はリュックを背負い、左手にもう1つバッグを持っているようです。警視庁は、この男らが容疑者とみています。
これまで首都圏で相次いでいた強盗事件とは違って、窓ガラスなどが割られている様子はありません。住人の男性は、玄関の施錠を忘れていたということで、男らは表玄関から侵入した可能性もあります。
強盗被害に遭った住人 (Q.スマホで強盗の最中、通話をしていたとかは?) 「そういうのは一切ない。一言も発してない」 (Q.何か声をかけられたりも) 「なかった」 (Q.現金はどれくらい?) 「デイパックに入れて、1850万円くらい入っていた。私この歳で全財産なくしちゃった。丸裸になっちゃったから」
■現場周辺 9月に別の住宅強盗
夏の終わりから、首都圏を中心に相次いだ闇バイトの犯行とみられる、強盗事件。10月までは立て続けに起きていましたが、このところ減少傾向に。ただ、今回の現場近くでは9月にも強盗事件が起きていました。それも練馬区の同じ大泉町です。窓ガラスがバールで割られ、腕時計など120万円相当を奪われたとみられます。この事件では17歳の少年を含む、現場にいたとみられる5人全員が逮捕されました。
ということは、2つの現場は近くても、全く別の実行役が動いたということ。なぜ男らは今回、この家に狙いを定めたのでしょうか。
■事件2カ月前に“詐欺被害”か
2カ月ほど前、不可解な出来事が起きていました。住人のスマホに、大阪府警の刑事を名乗る人物からこんな電話があったといいます。
10月6日の電話 「あなたには偽造免許証を使った疑いがかけられている」
その翌日、大阪府警とつながりのある『互助会』という組織を名乗る男が訪ねてきました。住人は4500万円の大金を初めて会った男に預けてしまったといいます。
強盗被害に遭った住人 「『マネーロンダリングの共犯者じゃないか』容疑があると脅されて調べたいと。『調べないと疑いが晴れません』と言われたので仕方なく。『ちゃんとしないと逮捕になりますよ』と何度も言われた。警察から逮捕されると言われると抵抗できない。さすがに変だから免許証を確認させてくれと撮った。金額が大きかったから」
これに味をしめたのか、大阪府警の関係者を名乗る男は10月31日、「植木を切ってあげますよ」と言って、再度訪問。その後、上司だという人物らを連れて自宅に来たこともあるといいます。住人の男性はすでにその男を信頼しきっていて、強盗被害に遭った直後にも電話をかけていました。
強盗被害に遭った住人 「信じ込んでいたわけで。(“府警関係者”に)電話したら通じた。緊急事態だからすぐ来てもらえないかと言ったら『私は行けないから上司に連絡しておく』と言って電話を切った。強盗事件で警察が来て『これ詐欺ですよ』と。そこで初めて分かった」
その後、預けた4500万円は返ってきていません。警察を騙った1件と今回の強盗事件に関係はあるのでしょうか。
■裏社会で流通“カモリスト”
闇社会では、こんな名簿が売買されています。『未公開株詐欺リスト 入金額付』と名付けられた、エクセルのデータ。中には1万人以上の名前や住所など個人情報がびっしり。「入会金」という欄には、100万円を超える金額がずらりと並んでいます。勤務先の欄を見ると、会社の社長だけではなく、医師や弁護士、警察官やお寺の住職など、様々な職種が。これは架空の未公開株を購入した人と、その購入額をまとめたもの。つまり詐欺とみられる案件に金を払ってしまった人の名簿でした。
裏社会の名簿業者 「闇社会では特殊詐欺の被害者の名簿は“カモリスト”と呼ばれ高値で購入されてきた。一度だまされた被害者は2度目3度目も引っかかるから、ひと昔前からずっと更新されている」
中には複数回、名簿に記載されている人物が確認できました。神奈川県に住む男性は225万円の被害が2つ確認できます。2度騙された可能性が高いということになります。
裏社会の名簿業者 「これは大金を払える人のリストとも言える。当初はこうした名簿を使って、色んな組織が投資詐欺を仕掛けていたが、組織も変わってきた。強盗のターゲットになっている可能性も否定できない」
強盗に遭った住人が以前、詐欺被害に遭ったと話していることは、警視庁も把握しています。