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菊池寛の代表作「父帰る」に登場…「浄願寺の椋の木」復活へ植樹 高松市

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 12月1日、高松市の寺に1本の木が植樹されました。この木は高松市出身の文豪・菊池寛の作品にも登場しています。

 高松市の中心部にある浄土宗の寺、浄願寺。12月1日、ここで「椋(むく)の木」の植樹式が行われました。

(浄願寺/上野忠昭 副住職)
「浄願寺の椋の木、『浄願寺の~』が付くぐらいの有名な木になってひとつのシンボルになってほしい」

 「浄願寺の椋の木」。これは高松市出身の文豪・菊池寛の代表作「父帰る」にも登場するフレーズです。
 「今日浄願寺の椋の木で百舌が啼いとりましたよ」(「父帰る」より)

 浄願寺は戦前、現在の高松市中央公園のあたりにありました。このころ、境内には椋の木があったと考えられています。しかし浄願寺は空襲で焼け、現在の場所に移りました。

 2年ほど前からは庭の改修に取り組んでいて、これに合わせて菊池寛が書いた「椋の木」を復活させることを決めました。

 さらに椋の木は、岡山県久米南町の誕生寺から種をもらって育てることにしました。誕生寺は浄土宗を開いた法然上人が生まれた場所に建っていて、浄土宗の浄願寺にとっても特別な場所です。

(誕生寺/漆間勇哲 住職)
「最初は正直驚きました。でも種を拾った経緯を聞いたら、『なるほどな』ということで、納得しました」

 椋の木の植樹を提案したのは浄願寺の檀家、大谷政富さんです。2年前に種を受け取った大谷さんは、自宅で育てることにしました。

 しかし当初は……。

(「椋の木」の植樹を提案/大谷政富さん)
「野菜の種をまいた経験はあるんですけど、樹木の種の経験はないので、大変なことを提案したなとドキドキしました」

 それでも、30個植えた種のうち8つが無事に芽を出し、大谷さんが世話を続けた結果、11月には1mほどの大きさにまで成長しました。さらに……。

(「椋の木」の植樹を提案/大谷政富さん)
「法然上人ゆかりの椋の木が『二股』の椋の木と……」

 芽が出たうちの1本は、きれいな二股になっていました。大谷さんはこの1本を浄願寺に植樹することを決めました。

 種を譲り受けてから2年。浄願寺の境内に椋の木が帰ってきました。

(「椋の木」の植樹を提案/大谷政富さん)
「感無量です。菊池寛の小説にあるように大きくなって、モズが鳴くような大きな木になってほしい」

 植樹された椋の木がモズが止まるほどの大きさに育つには、あと15年ほどかかるとみられています。

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