“非常戒厳”を発令した韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領に対する弾劾(だんがい)決議案の採決が行われましたが、「不成立」で廃案となりました。
投票は与党議員のほぼ全員が退席したことで、在籍議員の3分の2にあたる200票に届かず「不成立」となり、廃案となりました。尹大統領は職務継続となります。
韓悳洙(ハン・ドクス)首相は「国家の安全と国民の日常が維持できるよう全力を尽くす」と述べ、今後の政権運営に理解を求めました。
一方、与党の韓代表は「尹大統領は退陣まで職務から排除され、首相と党が協力して国政運営していく」と述べ、実質的に大統領の権限は失われているとの認識を示しました。
また、検察が特別捜査本部を立ち上げるなど、今後「内乱罪」を巡る捜査が本格化する見通しです。
さらに、最大野党の代表は与党側の対応について「主権者を裏切った犯罪政党だ」と批判したうえで、「韓国最大のリスクである尹大統領を必ず弾劾する」と強調しました。
来週、再び弾劾訴追案を発議することも検討されています。
採決時には国会周辺を多くの市民らが取り囲み、尹大統領の退陣を求めました。約16万人が集まったということです。
今回、弾劾決議案が不成立となったことで抗議活動はさらに拡大していく可能性もあり、政府は神経をとがらせています。