去年9月に大量の銅線などが盗まれた群馬県のスキー場は、5本あるリフトのうち1本しか稼働していません。営業活動が難しいなか、新たな取り組みを取材しました。
■銅線窃盗でリフト5本→1本に
スキーシーズン真っただ中にもかかわらず、リフトは止まったままです。
パウダースノーで人気の群馬県の「万座温泉スキー場」では今シーズン、大きな異変が起きていました。
去年9月、2度にわたって大量の銅線ケーブルやリフトを動かすモーターなどが盗まれました。
そのため、5本中4本のリフトが運行できなくなり、14コースのうち、上級者コースなど12コースが今シーズン中の営業停止を余儀なくされたのです。動いているのは初級者向けのコースだけです。
東京から来た親子 「私はボード(歴)15年くらい。このコースだけだとちょっとね…。物足りない」
警察によりますと、犯人はいまだに捕まっていないといいます。
また、群馬県内では周辺の別のスキー場でも銅線などが盗まれているというのです。
金属の盗難の認知件数は年々増え続けていて、去年は2万件を超えました。品目別だとケーブルが半分以上で、材質は銅が半分以上を占めます。
銅線ケーブルが狙われる背景にあるのが、銅の高騰です。今年1月の銅の1トンあたりの値段は、2016年の同じ月と比べて倍以上になっています。
こちらのスキー場では、送電用の銅線ケーブルなどのほか、工具や蛇口などまでなくなっていたといいます。さらに、地面に穴が掘られていて、地中の銅線ケーブルまで盗まれていたというのです。
万座温泉スキー場 星野元希さん 「楽しみにしていただいた客に本当に申し訳ないという気持ちが一番」
今シーズンの年末年始でのスキー場の利用客は昨シーズンのおよそ半分だったそうです。
■群馬・万座温泉スキー場の挽回策は
しかし、このピンチに、スキー場は思い切った挑戦に出ました。
万座温泉スキー場 星野元希さん 「縮小営業だからこそできるということもある。スキーをしない客にも楽しんでいただきたいという気持ちから皆で作った」
ゴムの輪に乗って滑る「チュービング」のコースを作ったのです。山の上のコースが休止したために可能になりました。
万座温泉スキー場 星野元希さん 「作るならということで日本一を目指して作りました。距離は約600メートル、乗っている時間は2分30秒ほど」
また、チュービングコースは緩やかなコースが多いなか、高低差およそ80メートルというスリルがあるアトラクションになったといいます。
埼玉から来た小学3年生 「たくさん速かったり、ガタガタしてどういうふうになるのか分からなかったから、結構ドキドキした」
万座温泉スキー場 星野元希さん 「非常に手応えを感じています。名物にしていきたい」
新たなチュービングコースの他にも、ガイドと一緒にコースを巡る「スノーシューハイキング」など、まさにピンチをチャンスに変えるようなイベントを行っています。