巨大なヒグマが箱わなを力任せに押し倒します。このクマとみられる400キロ近いヒグマがついに捕獲されました。「
■クマが駅近くに 緊迫の現場
青、白、赤の車体でおなじみの「三陸鉄道」の線路沿いにツキノワグマです。
岩手県の釜石駅すぐ近くに1頭が現れました。木から下りたと思えば、また木に登り…。
警察や猟友会が集まって対応にあたっていると、クマは意外な行動に…。別の高い木の上に登ってしまいました。ここから、さらに現場の緊張感が高まります。
「パン」と乾いた音が響くと煙が発生。追い払い用の花火で驚かせて何とか上へ行くクマを下ろす作戦とみられますが、なかなかうまくいきません。
30分近く破裂音が鳴り続けた後、クマは緊急銃猟で駆除されました。
■“過去1番”巨大ヒグマ捕獲
ツキノワグマだけでなく、ヒグマの出没も相次いでいます。
日本海に面した北海道苫前町では25日、箱わなにヒグマが入りました。撮影された時間は午前9時ごろです。
重低音のうなり声を上げ、ハンターを威嚇しています。おりに掛かるヒグマの爪の鋭さ…。
苫前町猟友会 林豊行会長 「家の付近をうろついていたり、そういうふうに農家から相談されて」
苫前町猟友会はヒグマの痕跡を見つけた住民の要望で、住宅から10メートルほど離れたところに半月ほど前、箱わなを設置。すると、その当初からカメラには巨大ヒグマの異様な行動が映っていました。
わなを設置した日の夜、粉雪に覆われたヒグマの姿が。日付をまたいだ午前1時すぎ。雪が降るなか、クマは箱わなに体重を乗せて右へ、左へ…。重さ300キロ以上だという箱わなをいとも簡単に押し倒してしまいました。
この時は箱わなを警戒していたのか、捕獲には至らず。しばらく姿を見せることはありませんでした。
ところが諦め掛けていたころ、クマは再び姿を見せます。
同一の個体かは定かではありませんが、何よりも特徴的なのがお尻の大きさです。どちらもたっぷりと脂肪を蓄えているのが分かります。箱わなに入るのか疑いたくなるような大きさです。
やはり、箱わなに執着するクマ…。
苫前町猟友会 林豊行会長 「やっぱり箱わなの中に入れた餌(えさ)が欲しい」
巨大なヒグマは箱わなの中に仕掛けられたシカ肉を狙っていたとみられます。
おりの格子からはみ出すほどの脂肪。体重380キロもうなずけます。
周辺では夏にデントコーンなどの食害もあったことから、林さんは人里の食べ物で巨大化したとみています。
苫前町猟友会 林豊行会長 「私も今までわなで最大で325キロのクマを捕獲したことがあるが、それと比べてもとにかく太い」
■なぜ“過去一番”の巨大ヒグマ出没?
なぜ、過去一番の巨大なヒグマが出没したのでしょうか。
巨大ヒグマが捕獲された苫前町と聞けば、多くの人が思い浮かべるのが「三毛別羆事件」。110年前の大正4年、北海道開拓時代に、ヒグマが空腹にまかせて次々と臨月の女性や子どもを食い殺した事件です。
そのヒグマの体重は380キロ。今回のヒグマもそれと同じ380キロでした。
「三毛別羆事件」と同等のサイズのクマが人里近くに現れた理由をハンターの林さんは、こう分析しています。
苫前町猟友会 林豊行会長 「すでに山の中のクマが多すぎたから出てきている。増えすぎたらそれ以上のクマの命を取らないといけない。それが今の現実でしょ」