東京慈恵会医科大学の研究グループは「たばこ」によって傷付いた肺を再生させる治療薬を開発すると発表しました。
主に喫煙を原因とするCOPD(慢性閉塞性肺疾患)は肺の空気の通りが悪くなり、「息切れ」や「せき」などの症状を起こし、日本国内でも500万人以上の患者がいるとされています。
一方で、現在の治療は症状緩和と進行の抑制が中心で、傷付いた肺を元に戻す治療法はありません。
東京慈恵会医大の藤田雄准教授らの研究グループは傷付いた肺を修復する機能を持つ幹細胞をサポートする「線維芽細胞」に着目し、サポート機能を高めた「線維芽細胞」を作りました。
その結果、作られた線維芽細胞から分泌される「エクソソーム」と呼ばれる小胞が喫煙によって傷付いた肺の修復を担う幹細胞の機能を回復させたということです。
COPDのマウスを使った実験で、このエクソソームを投与したところ肺機能の改善が確認されたほか、患者の肺から培養した細胞組織でも肺を修復する効果が再現されました。
今後、このエクソソームの作用を利用し、壊れた肺そのものを再生させる治療薬の開発や呼吸器疾患での新しい治療法の確立を目指すとしています。
藤田准教授は実用化に向けて「肺が硬くなる病気や肺がんなどで肺を一部切除した患者など、肺疾患における幅広い応用が考えられる。2030年ごろを目安に人への投与(臨床試験)を開始したい」としています。
研究成果は呼吸器の分野で最高峰とされる学会雑誌「American Journal of Respiratory and Critical CareMedicine」に掲載されています。