犯罪からの立ち直りを支援してくれていた男性を殺害した罪に問われた男。検察は男に無期懲役を求刑しました。
■36歳男「守護神の声に従った」
「社会に戻るんやろ」。被害者の最後の説得は届きませんでした。
おととし、新庄博志さん(当時60)が自宅リビングで殺害された事件。
近所の人 「真面目な人だった。そういう活動をしていた人が気の毒。(被告の)世話をしていたんだから」
逮捕されたのは、「保護司」の新庄さんから更生の支援を受けていた男でした。
飯塚被告(36) 「間違いありません。間違いありませんが、守護神様の声に従ってやりました」
初公判で、殺人の罪などを認めた飯塚紘平被告。
被害者の妻 「これまで夫がしてきたことは何だったのかとむなしくなりました」
法廷では、被害者の妻の心情も読み上げられました。
およそ5年の交流の末に、何が起きたのでしょうか。
■保護司を“殺害”無期懲役を求刑
これまでの裁判で、被告は事件について詳細に語っています。
おととし5月、定期的な面談のために被害者宅を訪れた被告。
飯塚被告 「普段は18時50分にチャイムを押すが、その日は足がすくんでいきたくないという気持ちから時間ちょうどに行った」
面談のため、室内に招き入れられた被告は…。
飯塚被告 「『トイレ貸して下さい』と言った」
被害者宅でトイレを借りた被告は、その中で…。
飯塚被告 「折りたたまれたナイフを右手に持った」
被害者から見えない場所で凶器を準備。
飯塚被告 「トイレからリビングに戻った。私の方に背を向けてテレビの方を向いていた新庄さんがいた」
被告は背後から被害者を切り付けたといいます。
2018年に強盗事件を起こし、保護観察中だった飯塚被告。被害者はその翌年の2019年から被告の更生支援を行っていました。
近所の人 「非常に広い範囲の福祉活動をしていた人だった。それは日常の中では分からなかった」
被告に襲われた際の被害者の言葉が、法廷で読まれました。
新庄さん 「何するんや。やめとけ、やめとけ。何でこんなことするんや、社会に戻るんやろ」
被害者が残した最後の言葉について、被告は…。
飯塚被告 「反応できなかった、パニックのため」
検察は被告がその後、おので被害者の首の切断を試み、断念したと指摘。
被告は犯行後にいったん帰宅しましたが、母親から犯人と疑われ、再び逃走したとされています。
その後、市内で警察官に身柄を確保されました。
24日、法廷で証言したのは被害者の妻です。
被害者の妻 「あまりに変わり果てた姿で夫と分からず、手の傷を見ると深い深い防御創があってゾッとした。新庄と一緒に笑いながら食事をしたことを思い出して下さい。あなたにとっては、それも茶番だったのでしょうか」
そう問われた被告は、俯いたままでした。
一方の弁護側は、被告は事件当時、責任能力が低く、心神耗弱だったと主張しています。
弁護側は、被告は「守護神様」の声に従った結果、犯行に至ったとしています。
飯塚被告 「守護神様は事実上命令で、私に都合のいいことを言う」
中学2年でいじめを受けたころから声が聞こえるようになったという被告。仕事を転々とし、人間関係などに悩みを抱えていたといいます。
飯塚被告 「国に対して攻撃するという代わりに誰か代わりになる人を攻撃する。保護司を保護観察の場で殺害することで、世間から保護観察とか面談がよく思われないと思った」
守護神は、心の中でこう提案してきたそうです。
飯塚被告 「保護司やったら現実的にいけるぞ。あいつやったら普通に殺せるやん」
被告は新庄さんについて「不満をぶつけるのにたまたま利用できた」とも話しました。
24日の裁判では、検察側が無期懲役を求刑しました。
被害者を知る谷山真心人さん 「なんで僕が感謝している、恩を感じている人に対して、同じ立場だった者が殺意を向けたのかすごく気になっていて」
被害者が過去に保護司として担当していた人も傍聴に訪れていました。
谷山真心人さん 「本当にすごくグレていたので、僕自身が。新庄さんは僕が捕まるごとに『そういう生き方しんどくないんか』と。更生できているのか分からないですけど、まともにやろうという考えをくれたのは新庄さん」