ロシアの最高検察庁が、ICC=国際刑事裁判所の赤根智子所長(70)らの身柄を引き渡すよう要請しました。なぜロシア側は要請したのか。そして、この後発表されるノーベル平和賞でICCの受賞はあるのでしょうか。
ICC 国際刑事裁判所 赤根智子所長 「ICCは決して負けません」
力強い言葉を重ねる赤根智子所長。9日発表されるノーベル平和賞の有力候補の一つが、ICC=国際刑事裁判所です。
この発表にタイミングを合わせたかのように、ロシアの最高検察庁は8日、赤根所長ら9人の身柄引き渡しを、オランダを含む複数の国に求めたと発表しました。
ICCは2023年、ウクライナでの戦争犯罪の疑いでプーチン大統領に逮捕状を出したことで、敵視されていました。
赤根智子所長 「所長に選ばれた時には『すべてのことを背負う』という気持ちでことに当たってきた。特別ではなく、私は単なる普通の裁判官だと思っている」
2024年に日本人として初めてICCのトップとなった赤根さん。支えたのは、慶応大学・国際刑事司法研究所所長のフィリップ・オステン教授です。
慶應義塾大学 国際刑事司法研究所所長 フィリップ・オステン教授 「非常に謙虚で気さくな人。自分の身に危険が及んだとしても『自分が仮に亡くなっても代わりはいくらでもいる』と言うくらい強い信念を持つ人」
ただICCを巡っては、アメリカも…。
トランプ大統領 「ICCは悪魔のような人々の集団だ。すべてのICC加盟国に、ならず者の機関から即座に正式に脱退することを求める」
「悪魔のような人々」と名指し。今年8月には赤根所長らを制裁対象としています。
トランプ大統領が敵視する理由は何なのでしょうか。
フィリップ・オステン教授 「一つはICCが米国の軍人を捜査の対象にした事例が以前、アフガニスタンであった。イスラエルというアメリカの同盟国の首相に2024年にICCが逮捕状を発付したことに対してアメリカは激しく反発」
赤根智子所長 「トランプ政権に対してとかそういうことではなくて、単に世界で重要な重大な犯罪を犯した人たちを訴追する、そして裁判にかけるという役目を負った裁判所であります。脅威のために押しつぶされるようなことはありません」
ICCは、今年のノーベル平和賞の候補です。
ICCだけでなく、ICJ=国際司法裁判所も受賞候補となっています。
雅子さまの父・小和田恆さんもかつて、国際司法裁判所の所長を務めています。
ICJ国際司法裁判所 岩澤雄司所長 「掲げられている肖像画は国際司法裁判所の歴代の所長。ですから小和田所長も」
ICCとICJは、どう違うのでしょうか。
フィリップ・オステン教授 「ICCは戦争犯罪、人道に対する犯罪やジェノサイドのような、国際法上の最も重大な犯罪を裁く個人の刑事責任を追及する裁判所。ICJは国連の機関。国際法に基づいて国家間の紛争の裁定などを行っている。ICCは独自の警察や執行機関を持っていない。国家による協力が得られなければ、ほとんど身動きが取れない」
今、トップは2人とも日本人です。
ICCは、これまでプーチン氏やネタニヤフ氏に逮捕状を出しています。有罪判決が確定すれば、最長30年の拘禁刑、例外的には、終身刑を科すこともできます。
2024年にICC加盟国のモンゴルをプーチン大統領が訪問しましたが、モンゴル警察が逮捕することはなく、批判にさらされています。
フィリップ・オステン教授 「ICCの要請に従って身柄を拘束して引き渡す義務が生じます。一方で対象者が現職の国家元首の場合には、ICCに対する協力義務を優先するのか、それとも国際法上の特権免除を重視するのか。ジレンマに陥る可能性が考えられる」
こうした機関が、ノーベル平和賞を取る意義について…。
フィリップ・オステン教授 「2つの司法機関がこうした形で改めて注目されることになると、大国による圧力に対する批判も今後、出てくるのではないか」