香川と徳島で伝統的な製法が受け継がれている砂糖、「和三盆」。その副産物を活用した「ラム酒」を、かつて日本酒造りで使われていた伝統の「木おけ」で仕込む取り組みが香川県で始まりました。
和三盆を作るときに出る甘い液体「糖蜜」。本来は廃棄されてしまいますが、これを有効活用できないかと考えたのが建設資材などの販売会社を経営する高松市の美馬宏行さん。妻の実家である「三谷製糖」の糖蜜を蒸留した「和三盆ラム酒」を考案し、2019年10月、試作品を完成させました。
そんな美馬さんが新たに始めたのが、和三盆ラム酒を日本酒用のおけで仕込む取り組みです。試作品で協力した香川県多度津町の西野金陵の蔵に眠るおけの存在を知ったのがきっかけです。
(野口真菜リポート)
「おけが出てきました。大きいです!私の身長は163センチなのですが、見上げるくらいの大きさで、重厚感があります」
このおけは60年以上前に日本酒の仕込みに使われていたもので、容量は約3600リットル。直径は1.8メートル、高さは2メートル以上あります。
(西野金陵/酒井史朗 製造課長)
「今まで眠ったままになっているものなので将来的にどう利用したらいいのかを探していたところで、美馬さんの方からこのようなお話をいただいて。絶対良いものになると思っておりますので、お楽しみにしてください」
(和三盆ラム酒を考案/美馬宏行さん)
「和三盆作りの伝統的に行われている製法がそのまま今に息づいているところと、昔からお酒を作られている方とそこを僕がちょうどつないだだけのような感じもありますので、携わることができたのは幸せなことだなと思っています」
このおけは徳島県に運び、おけ職人が1カ月ほどかけて解体、修繕します。そのおけを使って金陵で仕込み、9月半ばには新たなラム酒が完成する予定です。