香川県のネット・ゲーム依存症対策条例、通称「ゲーム条例」の施行2年を前に、条例の内容見直しを検討するよう求めた陳情を県議会は採択しませんでした。
「子どものゲームの利用時間を1日60分まで」とする家庭でのルールづくりの目安などを盛り込んだ香川県のゲーム条例。「附則」として2020年4月の施行から「2年を目途として、施行状況等を勘案し、検討が加えられる」と規定されています。
11月、高松市のITエンジニアの男性2人がこの附則に基づいて見直しの検討を始めることを求め、県議会に陳情していました。
11月県議会最終日の12月14日、この陳情についての採決が行われました。共産党議員団の秋山議員は「陳情を採択すべき」という立場で討論しました。
(共産党議員団/秋山時貞 議員)
「科学的根拠に基づかない対策は逆効果になりはしないか。また国民・県民が多くの疑義を唱えているものについて、それは本当に適切なのか。そうしたものをしっかり検討していくことは、本条例を作った県議会の責務です」
その後行われた採決では、共産党議員団、自民党議員会、かがわ立憲みらいの3会派の議員16人を除く賛成多数で陳情を「不採択」としました。陳情を行った野中康生さんも議会を傍聴しましたが、不採択の理由は明らかにされていません。
(陳情を行ったITエンジニア/野中康生さん)
「大変残念だなと思ってます。かなり不透明な議論が行われているというのを正直なところ感じました。市民にとってもっと開かれた議会であってほしいなと思ってます」
14日は、高松市議会の一般質問でも香川県のゲーム条例について質問が出ました。条例では「市や町もネット・ゲーム依存症対策を推進するものとする」と定められていますが、大西市長は条例の策定段階で市が意見を述べる機会はなかったことを明らかにしました。
一方、条例の再検討や見直しを県に要望するかについては……
(高松市/大西秀人 市長)
「国におきましては、ゲームの使用時間とゲーム障害の発症との因果関係について科学的根拠の集積が重要であり、さらなる研究が必要との見解を示しており、その内容を踏まえた上で、県への要望の必要性を検討してまいりたい」
(記者)
「条例の施行にあたっては、その内容だけではなく不透明な制定過程も問題になりました。附則にある見直しの検討すらしないという姿勢では、議会への不信感は深まるばかりです。2022年4月の施行2年に向けた議会の動きに注目しています」