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【特集】外国籍の子どもに寄り添い10年 「日常に寄り添った支援」を続ける男性 香川・丸亀市

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 毎週土曜日、香川県丸亀市のコミュニティセンターでは、外国籍の子どもたちに向けた学習支援の場が開かれています。
 立ち上げたのは元香川県職員の男性。「日常に寄り添った支援」を目指す男性の姿を追いました。

(家庭訪問をする安藤州一さん)
「安藤です。最近来よらんやろ? 土曜日。また5月入ったら来てくれる? 勉強に」

 安藤州一さん、72歳。丸亀市で外国籍の子どもたちを支援する活動を続けています。

安藤さん「送ってくれる人おらんのかな?」
アキラ「言えば送ってはくれる」
安藤さん「じゃあ来いよ。寂しいきん、来いよ。来てください」
アキラ「うん」
安藤さん「また考えといて」

(外国籍の子どもを支援/安藤州一さん)
「地域との関わりが少ないから、どうしても。地域の日本人と。そういう人たちと一緒に交わって何かをしたっていう記憶があるとないとでは、彼らのこれからの長くなるであろう日本の社会の中でもポジションとか思いも違ってくるんじゃないかなと思うけどね」

(ダマイラとガエラ)
「今から、コミュニティーのことを紹介します」「私たちはここで土曜日よく勉強します」「いろいろわからない勉強があったらここにしに来たりして、最後は遊んだりしています」

 毎週土曜日の午前、丸亀市の城乾コミュニティセンターでは、ペルーやフィリピンなど外国籍の子どもたちに向けた学習支援の場が開かれています。

 「まるがめ子どもにほんごひろば」。通称「ひろば」です。2012年に安藤さんが始めました。

 参加は自由。子どもたちは、学校の宿題などを持ってきて1時間半ほど勉強します。

 勉強は高校生から70代までの地域のボランティア約10人がサポートします。

(ボランティア/森田奈津実さん)
「初めに来たときは、すごいやんちゃというか、でもそれでも楽しくてにぎやかで」

(ボランティア/田中伊桜里さん)
「もっと住みやすくなってくれたらいいなぁと思って、ボランティアに参加してます」

(ボランティア/磯野美保さん)
「ここを土台にして地元の人たちと一緒に生きていけるような力というか、その元になればいいですね」

(安藤州一さん)
「外国住民という、ひとくくりの中にもいろいろあって、それなりの理由があって来日しているんでしょうけど、一番その中で、自分の意思に反して日本に渡っているというのが子どもたちなんですよね」

 安藤さんは善通寺市出身。香川県の職員として国際課で1年間勤務しました。その後、香川県国際交流協会「アイパル香川」で国際交流事業の企画や運営に携わりました。

(安藤州一さん)
「どうしても県の関係の行事であるとか、アイパルもそうですけど、そういうところに通う外国の人っていうのはある程度限られてると思った。語学もある程度できたり、自分のことをある程度表現できたり、そういうことについて自由にできる人たちが集って、そこで一つの国際交流という形ができてるということなんでしょうね」

 県の国際交流事業を通して感じた違和感が「ひろば」を立ち上げるきっかけでした。

(安藤州一さん)
「いかに地域なり、身近なところで彼らに接する場を作らないと。やっぱり日常的な場がほしいなと思った」

 1990年に入管法が改正されて以降、丸亀市では外国人が増え始め、2021年4月時点で約2150人が暮らしています。技能実習生のように「期限付き」ではなく「定住」の割合が高いのが丸亀市の特徴で、造船会社の下請け企業で働いている人も多くいます。

 外国籍の子どもの増加を受けて、丸亀市は2014年に城乾小学校に「にほんご教室」を設けました。

 2021年5月時点で、丸亀市に住む外国籍の小・中学生は111人で、そのうち70人が日本語の指導が必要だとされています。

 2021年12月に家族と一緒にペルーから来日した、ムグルサ  プラダ  フェルナンダ ノリコちゃん(10)。2022年1月には小学校に入学しました。

 好奇心旺盛で、毎週のように「ひろば」に通い、少しずつ日本語の単語を覚え始めていました。しかし、4月に入るとノリコちゃんは、ぱったりと来なくなりました。

 この春は、他の子どもたちも顔を出さなくなりました。3月は4回開いて、1人。4月も1人しか来ませんでした。

(安藤州一さん)
「最近、ちょっとほんまにさみしいなぁ。ずっと連続してねえ。こんなことなかったんだけどなぁ」

「学校じゃないからね、自由に、そこがいいところなんだけど。かといって、(子どもたちが)全然来れない状況が出てくると、どうしてかなと思ってしまう」

 安藤さんは子どもたちの様子を見に、それぞれの家庭を回りました。

 子どもたちに話を聞くと、習いごとを始めたり、部活が忙しくなったり、家族に家で勉強を教えてもらっていたり、顔を出さなくなった理由はさまざまでした。

 一方、1月に小学校に入ったノリコちゃんは電話もつながらなくなっていました。

(安藤州一さん)
「(Q.これまでも急に見なくなる子はいましたか?)いたよ。急に見なくなって、学校に聞いたらもう帰ったとかね」

 その後、知人を介して母親に連絡を取ったところ、ノリコちゃんは家族の事情でペルーに帰国していました。

 ノリコちゃんからもメッセージが届きました。

(ノリコちゃんからのメッセージ)
「私(ノリコ)は今、ペルーの学校で勉強がんばっています」

 ゴールデンウィークに開かれた「丸亀お城まつり」では、安藤さんは「ひろば」に通う子どもの親と一緒にペルー料理の店を出しました。

 出店の裏では地域の子どもたちを招き、ペルー人の講師による簡単なスペイン語教室なども行いました。

(安藤州一さん)
「(日本人と外国人が)生活の中でそれぞれの方向性を作っているので、それが少しでも交われば地域が豊かになるというか、それぞれの人生も豊かになっていくということで、お互いが支え合うという関係も作れるのではないか」

 ペルーの伝統的な料理アンティクーチョ(牛のハツの串焼き)の売れ行きは好調で、2日目の午後には完売しました。

(イルダ ブロン マルノさん)
「めっちゃうれしいです。皆食べてくれてうれしい。外国人と日本人が仲良く集まっている。そういうところは私もうれしいから(安藤さんが)誘ってくれてうれしかった」

 「ひろば」は学校とは違い参加が自由。ふと「行こう」と思った時に開かれている子どもの居場所です。そこに「日常に寄り添う」支援の難しさがあります。それでも、安藤さんは「日常に根差した支援」にこだわり続けています。

(安藤州一さん)
「非日常ではなく、日常的な生活の中の一つとして組み込んでいただいて。ひろばがね、『普段着の場所』でありたいなと。かといってお互いにとって気になる場所でありたいな、そう思います」

 「ひろば」はこの7月で11年目に入ります。



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