香川県で初めての公立夜間中学が14日、三豊市に開校し、入学式が行われました。
夜間中学は、年齢や国籍を問わず、さまざまな事情で学び直しを必要とする人たちを受け入れる学校です。三豊市では、市立高瀬中学校の校舎に夜間学級を設置しました。
(生徒代表/石尾彰さん[54])
「もう一度勉強したい、学び直したいと強く願っていました。その願いがかなえられることになりました」
14日に行われた入学式には10代から80代まで、外国籍の人を含む9人の生徒が出席しました。
自治体が設置する公立夜間中学は、4月に開校するところも含めて15都道府県に40校あります。
教員免許を持った教師が週5日、9教科の授業を行い、学校行事もあります。また、三豊市は全国で初めて不登校の中学生も受け入れる方針です。
(三豊市/山下昭史 市長)
「(夜間中学は)学びたいものを学べる場所、そういった意味では生徒さんが主役の場所であると。そういう学びの場にしていきたいと思います」
生徒たちの「学びたい」という気持ちに応えようと教員側も準備を進めてきました。
4月7日、公立夜間中学に赴任する教員らが集まり、研修会が行われました。
昼の中学校で指導していた経験豊富な先生が多くいますが、夜間中学に勤めるのは全員が初めての経験です。
(数学教諭・学級担任/光家靖志さん[29])
「この先どうなっていくのかという不安もありつつ、ベテランの先生方に教えていただきながら、頑張っていきたいと思います」
英語を担当する城之内先生は、岡山市で、ボランティアによる自主夜間中学を運営しています。その経験を生かして、三豊市の公立夜間中学の検討委員会にも携わりました。
先生と生徒が最初に顔を合わせるのは入学式当日。学びたいという思いに少しでも寄り添えるよう、準備を進めていました。
学び直しを必要とする生徒たちが困らないように、漢字にはすべてふりがなをふります。外国籍の生徒もいるため、中国語の時間割も用意しました。
(日本語指導/百美佐保さん)
「私も夜間中学で働けるということで、すごく楽しみにしているので、頑張ります」
(理科教諭/入江州白さん)
「そばにいて、(生徒が)安心できる先生でありたい。ともに勉強して成長したいと思っています」
(国語教諭/白川晴美さん)
「(学生時代を)十分に楽しむことができなかった、学ぶことができなかったという方がとても多かったので、楽しみに行ける学校になってほしいなと思います」
美術の塩田先生は、生徒を歓迎する黒板アートを2日がかりで仕上げました。
(美術教諭/塩田欣文さん)
「自分から学ぼうとすることが一番だと思うので(夜間中学の生徒は)すごいなと。私たち教師もそれに応えていかなくてはならない」
そして迎えた入学式当日。
生徒一人一人に先生が寄り添いサポートします。
(高瀬中学校夜間学級 生徒/石尾彰さん[45])
「(勉強が苦手なことで)いろんな所で恥をかいて、そういう学校がないんだろうかとずっと悩んでおったんです。学んで、いろんな資格を取りたいと思います」
(高瀬中学校夜間学級 生徒/80代の女性)
「中学校の卒業証書がないんです。卒業証書がほしい、いくら勉強してでもね。(夜間中学が)地元にできたからありがたい」
(高瀬中学校夜間学級 教諭/城之内庸仁さん)
「多くの人に、夜間中学というのは、こんなに素晴らしい学校なんだ。そしてそこに来ている生徒さんは、すごく勉強意欲に燃えて自分を取り戻そうとされているんだという、自慢できる学校なんだということを、生徒さんにもしっかり持っていただきたいですし、さまざまな全ての方が、この夜間中学校についてしっかり理解していただけたらと思います」