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風船を浮かせる気体「ヘリウム」が不足 その影響は水道水にも 岡山

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 新型コロナウイルスやロシアのウクライナ侵攻などの影響で物価が上昇する中、実は生活に身近なヘリウムにも影響が出ています。

 希少なガスであるヘリウムは、空気より軽く化学反応を起こさない性質から、風船や飛行船の他、半導体の製造や医療現場のMRIなどさまざまな場所で使われています。

 実は私たちの生活に身近なヘリウム。地元での影響を取材しました。

風船が浮かない?ヘリウムを“使わない”商品へ

(アップビート・バルーン/瀧原秀美 社長)
「ヘリウムガスが大変不足していて、ゆらゆら揺れて浮いているように見えますが、よく見ると上をテグスで吊るしています」

 風船を販売している岡山市の会社アップビート・バルーン。2021年の緊急事態宣言中は、取引のある結婚式などが中止となり、売り上げは8割減でした。ようやく需要が回復してきた矢先、風船を浮かせるためのヘリウムが不足しています。

(アップビート・バルーン/瀧原秀美 社長)
「入ってくる量も5分の1とか値上げをせざるを得ない。しているが、もう追いつかない。(仕入れ価格が)160%、200%と2次、3次の値上げが1カ月単位でくるような」

ヘリウムの輸入価格は2年連続で最高値に

 ヘリウムの生産国はアメリカなど数カ国で、日本は全て輸入に頼っています。日本のヘリウム輸入量はここ数年、減少傾向。半導体の需要が高まり、海外との価格競争も影響しています。

 貿易統計から算出したヘリウムの平均輸入価格は、2020年・2021年と2年連続で最高値を更新しました。

 ヘリウム輸入大手の大陽日酸は、2022年3月、「ヘリウムの出荷を半分に制限する」という異例の発表をしました。

 新型コロナウイルスの影響でアメリカの貨物船のコンテナが不足していることや、新たな取引先として見込んでいたロシアのプラントで事故が起きた上、ウクライナ侵攻も重なり確保の見通しが立たなくなったことなどが理由です。

(アップビート・バルーン/瀧原秀美 社長)
「このあたりも(ヘリウムを)使わない商品です。花束・造花が入っています」

 岡山市で27年続くアップビート・バルーンでは個人需要を取り込もうと、ヘリウムを使わない商品をSNSで発信していて、売れ行きは好調だと言います。

影響は水道水にも…安全安心のため分析手段の検討を

 私たちの生活を支える水道水。この浄水場でも水道の維持にヘリウムが欠かせません。

(岡山市水道局 水質試験所/太田修 所長補佐)
「こちらがヘリウムガスを必要とするガスクロマトグラフ質量分析計です。水質基準項目が国の基準を満たしているかどうかを確認できます」

 法律に基づいた年4回の水質検査のほか、水道水のかびの臭いを調べるため週3回から5回、ヘリウムを使用しています。

(岡山市水道局 水質試験所/太田修 所長補佐)
「ボンベ6本が使用中のヘリウムガスです。予備が1本、在庫はこの7本です」

 使われるヘリウムは風船用とは異なり、純度99.9999%の「超高純度」と呼ばれる物です。2022年2月以降、契約業者からの納品はなく、2021年度に確保できたのは必要な24本のうち16本だけです。

 水質試験所では検査する機械を改修し、ヘリウムの使用量を減らすことで対処しています。

(岡山市水道局 水質試験所/太田修 所長補佐)
「前年同時期と比べると、半分以上削減できています。今後はヘリウムを扱わない分析手段などを検討していき、ヘリウムを求めないような分析を多く採用していきたいと考えております」

 2022年度は、6月に1本納品される予定です。

(岡山市水道局 水質試験所/太田修 所長補佐)
「安全安心で水道水を飲用していただきたいので、検査の方は継続できるような体制を維持していきたいと考えております」

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