岡山県吉備中央町の浄水場から有害性が指摘される「有機フッ素化合物」が高い濃度で検出された問題です。町は新年度の当初予算案に住民の健康への影響を調査するための費用を盛り込みました。
3月定例の吉備中央町議会に提案された新年度当初予算案は一般会計で総額約117億8000万円です。
吉備中央町の円城浄水場の水からは有害性が指摘される有機フッ素化合物の一種「PFOS」と「PFOA」が3年にわたり国の暫定目標値を超えて検出されました。
当初予算案には円城地区の住民らの健康への影響を調査するための費用として6120万円を計上しています。
この問題をめぐっては一部の住民が専門機関で血液検査を行った結果、血中の「PFOA」の濃度は健康被害が懸念されるとするアメリカの指針値を全員が上回っていました。
この結果を踏まえ、住民らの有志の会は山本雅則町長に対し、希望する住民全員の血液検査などを求めています。
住民の健康への影響や対策を検討する外部の有識者委員会は3月中旬にも町に意見書を提出する予定です。
この中では住民の健康への影響を観察し続けることなどを「提言」する一方、血液検査については、その意義と懸念点を「報告」としてまとめ、行うべきかどうかの判断は町に委ねました。
(健康影響対策委員会[岡山大大学院 教授]/頼藤貴志 委員長)
「(有害物質の)暴露が下がっていくのは見え、住民の方の不安はとれるという(期待の一方)結果が出たものが自分の持ってる健康状態とどうリンクするのかなかなか判断が難しいところかなと思います」
町は血液検査を行うかどうかも含めた健康調査の具体的な内容は有識者委員会の意見書を受けて検討するとしています。
(吉備中央町/山本雅則 町長)
「3月中には何らかの町の方針は出すべきと思っている。健康観察など、いろんな面で住民へのフォローを町としてしないといけないことが出てくる。そのためにいろんなことに対応するための予算」