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【特集】進学や就職に壁も…外国ルーツの女子大学生が希望の職業へ「外国人の力になりたい」 香川

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 日本で暮らす外国にルーツを持つ子どもや若者たち。言葉や文化の違いなどから進学や就職は簡単ではありません。そんな中、ペルー人の両親を持ち、香川県丸亀市で生まれ育った女子大学生がこの春、希望する会社から内々定を得ました。就職活動を終えた彼女に思いを聞きました。

(大学4年生/ビダル・キアラさん)
「電話が掛かってきて、『内定出ました』って言われて、え? みたいな。びっくり。ずっと高松空港で働きたいって言いよったけん。うれしかった」

 大学4年生のビダル・キアラさん(21)。4月30日、高松空港で接客に当たるグランドスタッフ業務を担う会社から内々定を得ました。
 空港のグランドスタッフは彼女にとって大学入学時からの目標でした。

(ビダル・キアラさん)
「今はグランドスタッフという夢に向かって、ちょっとずつでも成長できたらなって思います」

 ペルー人の両親のもと丸亀市で生まれ育ったキアラさん。小さい時からスペイン語しか話せない両親の通訳をしていた経験から、外国の人を手助けしたいと空港やホテルでの仕事を求めて就職活動をしていました。

(ビダル・キアラさん)
「やっぱり外国人の力になりたいっていうか、話せなくて、コミュニケーションとれん時に、自分が手助けできたり、力になったら、親も日本に来てよかったなとか、正直、親のなれなかったこととか、職業に就きたくても就けなかったその気持ちを考えたら、自分は就きたいなって、親の分まで頑張ろうって思いましたね」

 キアラさんは造船工場で働く父とパート勤めの母、11歳の妹と5歳の弟と一緒に暮らしています。
 キアラさんの母方のひいおじいさんは熊本県からペルーに渡った日本人で、両親は25年前に来日しました。

 丸亀市では、1990年に改正入管法が施行されてから外国人が増え始め、今は約2500人が暮らしています。「期限付き」ではなくキアラさんたちのように「定住者」や「永住者」として日本で生活を続けている人の割合が高いのが特徴です。

 丸亀市教育委員会によりますと、2008年ごろから丸亀市の小中学校でも外国にルーツを持つ子どもが増え始め、2011年には小学校に2017年には中学校に特別教室を設けました。

 それでも、日本語力が十分ではない生徒にとって高校進学は大きな壁でした。

(ビダル・キアラさん)
「高校に行きたくても、学力がついてない分難しいし、受けてもどうせ受からんっていう。私立もやっぱ高いんで、それだったらアルバイトしてお金を稼ぐっていうのが周りは多かったですね」

 キアラさんの外国ルーツの同級生10人のうち当時、高校に進学したのは3人でした。

 そんな中、キアラさんは自分の目標をしっかりと持ち、吉備国際大学の外国語学部に進学。両親との会話で使うスペイン語と小・中・高校で身に付けた日本語に加えて、大学では英語を学び、2023年はオーストラリアに1カ月半留学しました。

(キアラさん 留学中のオーストラリアからオンラインインタビュー)
「香川県にも、それなりに外国人がいるから、その人たちの力にはなれるのかなとは思うから、(目標は)高松空港でグランドスタッフかな」

(キアラさんの母/アナさん)
「1カ月半だけだったけど、やっぱり寂しかったのはある。だけど、行ってる分、英語とかも勉強してその面ではうれしい」

 5月10日、キアラさんは小学校時代からの恩師、池内道子さんに内定を報告しました。

(キアラさんの恩師/池内道子さん)
「『ペルーの星になってください』と、毎回会うたびに言ってたほどリーダーシップもあるし、学力も高いし、人のことを思いやれる子なので」

 池内さんは丸亀市の小学校と中学校でこれまで約10年間、外国にルーツを持つ子どもたちの指導に当たってきました。

 高校への進学率上昇に伴い、2023年10月からは放課後の学習支援の場を開き、進学や就職に関する相談も受け付けています。

(キアラさんの恩師/池内道子さん)
「丸亀の外国人のロールモデルになってくれているので、そのあとキアラさんみたいに次々高校に行って、あんなことしたいというキアラさんの下の子どもたちが彼女を目指して頑張れるようになってきたことが私にとっては一番うれしい」

(ビダル・キアラさん)
「ペルー人やから就職できん、高校行けん、大学行けんみたいなその考えをやめて、みんなと一緒、日本人・ペルー人、国籍とか関係ないっていうのを自分は高校・大学行ってより感じたので、自分の夢を諦めることなく、最後まで頑張ってほしい」

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