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解体の方針…価値を感じて 「船の体育館」設計図の展示会 香川

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 香川県が解体の方針を示している「船の体育館」こと、旧県立体育館。
 建築物としての価値を改めて感じてもらおうと、2023年に新たに発見された設計図などの展示会が高松市で始まりました。

 高松オルネの4階にあるアートギャラリーで、21日に始まった「沈みゆく船からの手紙」と題した展示会です。

 旧香川県立体育館の設計図や写真、構造模型などが展示されています。

 設計図は、丹下健三さんの事務所が担当した外観や内観、間取りなどの「意匠図」3点と、岡本剛さんの事務所が担当した土台や骨組みといった「構造図」3点です。

 建築構造を専門とする東海大学の田中正史准教授が2023年8月ごろ、岡本剛さんの自宅からこれまで表には出ていなかった構造設計図の「原図」約60点を発見。

 香川県が解体の方針を示す中、体育館の設計に携わった人たちの熱量や価値を県民に広く知ってもらおうと、田中さんの研究室と、建築史を専門とする愛知工業大学の清水隆宏准教授の研究室、そして、地元で活動する「船の体育館再生の会」が展示会を企画しました。

 「原図」そのものはデリケートなため、今回展示されているのは原図を高解像度でスキャンして複製した原寸大のパネルですが、鉛筆で緻密に手書きされた筆跡や梁のカーブなどを消しゴムで消して何度も書き直した跡も見て取れます。

(記者リポート)
「説明文にはQRコードがついていて、カメラで読み込むと解説動画が流れます」

(解説動画)
「実現案は4本の大柱に集約され、地上の接地面が少なくなったことでより建物が浮遊したような形状に変更されています」

 船の前後にせり出すように設置された観客席が、実物よりも長くなっている断面図です。

 船の体育館は、建設された最終の設計図に至るまでに大きく6段階の変遷をたどっていて、今回の展示では、その途中の設計図も展示しています。

(記者リポート)
「設計の途中段階の構造図です。妻梁の部分が直線になっているんですが、実物の写真を見ると少しカーブしています。こうした設計の過程を知ることもできるんです」

(愛知工業大学 工学部建築学科/清水隆宏 准教授)
「設計過程、試行錯誤している過程というのをしっかりと図面でも感じ取ってもらいたいと思って。完成している最後の図面であれば建物を見るだけで済んでしまうかもしれませんけど、微妙に設計が変わっていったってことが読み取れることが途中段階の図面だからだと思ってます」

 訪れた人たちは展示会の感想や船の体育館への思いなどを記入し、メッセージボードに貼ることができます。

(見に来た人は―)
「娘のバスケの試合で何度も足を運んですごく思い入れのある、素敵な体育館で。(解体は)悲しいです。コンピューターもない時代にあんな素敵な設計を。すごいなと思います」

(愛知工業大学 工学部建築学科/清水隆宏 准教授)
「建築家の丹下健三さんだけでなくて、それをサポートする技術者とかさまざまな方が、図面を描く、その内容を変更する、そういうところで関わって、その力を結集してできたのがあの建物なんだと、そこを理解していただくといいかなと思っています」

 また、紙を切り貼りして船の体育館の模型を作るワークショップも行われます。

 会期は当初の8月25日までの予定が延長となり、9月17日まで開かれます。入場は無料です。

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