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【特集】岡山県知事選挙 現職と新人の一騎打ち…争点と訴えは 27日投開票

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 10月27日に投開票が行われる岡山県知事選挙は前々回、前回に続き、現職と新人の一騎打ちとなりました。

 岡山県知事選に立候補しているのは、届け出順にいずれも無所属で、4回目の当選を目指す現職・伊原木隆太さん(58)と、共産党岡山県委員会の常任委員を務める新人・小坂昇さん(72)です。

 現職の3期12年の評価が大きな争点となっている選挙戦を取材しました。

(伊原木隆太 候補)
「みんなでどんどん岡山を良くしていく。未来への投資、きょうをちょっと我慢するけれども、より良い明日を引き寄せていく」

 伊原木さんは1998年から14年間、天満屋の社長を務め、2012年に岡山県知事に初当選しました。

 自民党県連、立憲民主党、公明党県本部、国民民主党から推薦を受けていて、選挙戦では3期12年の実績をアピールします。

(小坂昇候補)
「新しい政治へ岡山から変える。皆さんとともに県民にあたたかい、新しい岡山をつくるために全力を尽くしてまいります」

 小坂さんは、1987年に共産党の職員となり、現在は岡山県委員会の常任委員を務めています。

 県委員会などで構成する「民主県政をつくるみんなの会」が支持母体で共産党の推薦を受けています。選挙戦では県政を刷新し、暮らしの問題を最優先したいと訴えます。

現職の県政に対する評価

 今回の選挙戦の大きな争点となっているのが、「現職の3期12年の県政に対する評価」です。

 伊原木さんは力を注いできた教育再生と産業振興を「県政のエンジン」と位置付け、その波及効果が期待できると強調します。

(伊原木隆太 候補)
「学力も一時期(全国)40位台まで、小学校、中学校、落ちたものが、今だいたい全国平均まで戻ってきたということで、進歩があるなと。そうやってすくすく育った子どもたちが、岡山で就職できるように、いい仕事を作っておかないといけない、また、税収のことを考えても産業の振興は非常に大事」

 岡山県は2023年度、企業誘致で1000億円を超える投資を呼び込み、伊原木さんが初当選した2012年度と比べると25倍以上に増えました。

 小坂さんはこれまでの県政に対し、「県民の立場に立って、県民の暮らしを良くする抜本的な政策が打てていない」と指摘します。

(小坂昇候補)
「一言で言うと、大金持ち、大企業にあたたかく、県民に冷たい県政だったと思っています。大企業や大金持ちにしっかり手厚いお金をかける。そうではなくて、直接県民の皆さんに支援が届くような、そういう政策を(自分は)いろいろ打ち出しているんです」

 岡山県が行った2024年度の県民満足度調査では、回答者の34.1%が「現在の暮らしに満足していない」と答えました。「物価の上昇」など経済的な負担が大きい点が理由の大半を占めています。

未来を見据えた施策

(伊原木隆太 候補)
「本気になって取り組まなければ、30年も40年も続いてきた少子化のトレンドは反転できませんけれども反転させなければいけない」

 今回の選挙で伊原木さんが訴えるのは「未来を見据えた施策」です。「少子化対策」に取り組み、特に結婚の支援に力を入れたいと話します。

 岡山県では2023年、1人の女性が産む子どもの数の指標となる「合計特殊出生率」が1.32となり、過去最低を記録しました。

(伊原木隆太 候補)
「結婚されずに40歳、50歳を迎えている方の数がこの20~30年で急増している。アンケートを取ると、そういった方々も実は、ちゃんとご縁があれば結婚したかったというふうに言われていますし、若い方に聞いても、これからご縁があれば結婚したいというふうに答えられている。ぜひそういった方に結婚に踏み切れるように、もっともっと行政も関わっていくお手伝いをしていく」

県民に直接届く施策

(小坂昇候補)
「財源は約7500億円の年間予算を県民本位に組み替えればあります。財源を作り出すのが知事の役割です」

 小坂さんが今回の選挙で訴えるのは「県民に直接届く施策」です。財源の使い道を見直し、最低賃金を1600円に引き上げたいと話します。

 岡山県の最低賃金は10月、932円から982円に引き上げられましたが、全国平均の1055円を下回っています。

(小坂昇候補)
「中小企業の経営者の方が寄って来られて『賃上げしたいんだけどそのための資金がない、だから賃上げできないんだ、1600円なんてとても無理だ』とおっしゃるんです。僕はその通りだと思います。これだけのお金が足りないということでしたら、そのお金を直接中小零細企業の方に渡したいというふうに思っています。それから農林水産業も安定した仕事を続けるために価格保障と所得補償が大事です」

次の4年間をどちらに託すか

 与野党相乗りの支援態勢で、地方議員のサポートを受けながら、街頭演説を繰り返す伊原木さん。

 過疎化が進む岡山県北では生徒数の減少による県立高校の再編や存続が危ぶまれるJR芸備線の問題に触れ、少子化対策の重要性を訴えました。

 しかし、2023年10月に伊原木さんの後援会の会計責任者らが政治資金収支報告書にうその記載をしたとして、罰金100万円の略式命令を受けたことが支持に影響する恐れがあります。

(伊原木隆太 候補)
「とにかく我々法律の知識が不十分だった、アップデートされていなかったということでありますので、今、公認会計士の先生、弁護士の先生に助言をしていただける体制をつくったところです」

 小坂さんは共産党の地方議員とともに1日15回ほど街頭演説を行っています。

 また、個人演説会で支持の拡大を呼び掛けたり、人通りが多い駅前でアンケートを行ったりして、無党派層の取り込みにも力を入れます。

 しかし、小坂さんは9月中旬に立候補を表明したばかりで、知名度で苦戦しています。

 地道に選挙活動を続けていますが、街頭演説で人が集まらない場面もありました。

(小坂昇候補)
「一人一人の気持ちをとらえていくというか、聞いていただくというか、そういう努力しかないと私は思っています。あまり上手ではないですが心を込めて訴えることで心を変えていく」

 前回の岡山県知事選はコロナ禍だったこともあり、投票率は過去最低の33.68%でした。次の4年間をどちらに託すのか―。

 岡山県知事選の投開票は衆議院選挙と同じ10月27日です。

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