高松市沖で旅客船が炎上し、沈没した事故から23日で1週間です。
船が燃え上がる前、乗っていたツアー客らを救助したのは、近くを通りがかった漁船の船長でした。船長がKSBの取材に応じ、緊迫した当時の様子を語りました。
(乗客の救助に当たった/漁船の船長)
「(乗客は)タオルとかいろんなものを(口に)当てながら降りてきた。とにかく煙と人間が一緒に出てくるから何人いるのか、どんな状態なのかも分からない」
こう話すのは、乗客の救助にあたった高松市の漁船の船長(66)です。
5月16日午後5時半ごろ、サワラの流し刺し網漁をするため、男木島沖を訪れたところ、約500m先に旅客船を見つけました。
(乗客の救助に当たった/漁船の船長)
「火の柱がバーッとなって、火の柱が見えて、あぁ火事が起きてると思って、バーッと全速で(駆けつけた)。煙で中は乗客の様子が分からないからとにかく『出てこい』と」
旅客船は瀬戸内国際芸術祭の「島めぐりツアー」で豊島と犬島を巡って高松港に帰る途中で、観光客やガイドら25人が乗っていました。
(記者リポート)
「煙があがっている旅客船から避難してきた乗客たちは、デッキ部分がいっぱいになりますと通路にしゃがみこんで男木島まで避難したということです」
乗客らを男木島に降ろし、船長が再び戻ったときには旅客船は炎に包まれ、近付けなかったそうです。
(乗客の救助に当たった/漁船の船長)
「海の中に入ったら20何人も、海の中からは船の上にはなかなか救出できないし、あの時間帯では無理やから。後から考えたらあと5分か10分の差やけん、紙一重じゃわな。まあ良かった。たまたまそこにおったけん助けただけで」
救助が少しでも遅ければ大惨事になっていたかもしれない事故。沈没した船は5月19日に引き揚げられ、海上保安部や消防、国の運輸安全委員会が出火原因を調べています。