広島への原爆投下後に降ったいわゆる「黒い雨」を巡り、国が対象範囲を広げた新基準で被爆者と認められなかった岡山市の女性が岡山県に処分の取り消しなどを求める裁判が岡山地裁で始まりました。
訴えを起こしているのは岡山市の84歳の女性です。
訴状などによりますと、女性は4歳のときに当時の広島県津田町でいわゆる「黒い雨」を浴びたということです。
黒い雨をめぐっては2021年に広島高裁が、国が定めた区域の外にいた人も被爆者として認める判決を言い渡し、国は2022年に被爆者の認定範囲を拡大。
これらを受け女性は2024年3月に、岡山県に被爆者健康手帳の交付を申請しましたが、「当時いた場所に黒い雨が降ったことは確認できない」として却下されました。
10日の裁判で原告の弁護団は「女性は当時の状況を自然かつ具体的に話すなど、黒い雨にあったことは確認できる」などとし、却下の処分の取り消しと手帳の交付などを求めました。
一方、県側の弁護団は「請求棄却を求める」とし、争う姿勢をみせました。
(「黒い雨」岡山訴訟弁護団/則武透 弁護士)
「被爆者を救済するということが第一の目的ですけれども、日本の平和をどう守っていくか、それを身をもって彼女(原告)は訴えている。自分の問題として考えていくべきだと」