富士山の噴火によって首都圏に大量の火山灰が降る事態を想定し、対策を議論する専門家の会合で、道路や鉄道などに積もった火山灰の除去を優先する方針が示されました。
2020年に国のワーキンググループが取りまとめた報告では、富士山で大規模な噴火が起きた場合、首都圏に約4.9億立方メートルの火山灰が堆積すると試算されました。
これは東日本大地震の際に出た災害廃棄物の量の約10倍とされ、鉄道や道路の通行が困難になる可能性などが指摘されました。
この大量の火山灰の具体的な対策を議論するため、7月に専門家会合が立ち上がり、これまで3回にわたって住民の安全確保やインフラへの影響などの検討が行われてきました。
4回目となる今月2日の会合では、生活を維持・継続するために道路や鉄道などに積もった火山灰約3100万立方メートルを優先的に除去する方針が事務局を務める内閣府から示されました。
そのうえで、火山灰を仮置きした後、埋め立てや緊急海洋投入など様々な手段を使って最終処分する方針も示されました。
こうした方針について出席した専門家から異論は出なかったということです。
座長を務める東京大学の藤井敏嗣名誉教授は会合後の記者会見で「およそ5億立方メートルの火山灰をすぐに除去するというのは困難」としたうえで、「緊急的に生活に関わる鉄道などからの除去は避難せずに済んでいる人たちが生活を維持するためには何とかしないといけない」との認識を示しました。
内閣府は今回の議論も踏まえて来年1月以降にガイドラインの取りまとめを目指すとしています。