埼玉県の道路陥没の事故で県は6日午後、下水管の堆積物の間から水が噴き出していることを確認したと発表しました。
■堆積物の隙間から“水噴出”
陥没現場に積まれた土嚢(どのう)。穴の底には、まだ水も見えます。
午後3時から始まった埼玉県の対策会議。
埼玉県 大野元裕知事 「きのうドローンによる調査で、事故にあったトラックのキャビンと思われるものが確認されました。現在、地域消防や消防庁、さらには陸海空自衛隊等、いわゆるレスキュー活動の方法について検討してもらっているところです。一刻も早い救出作業に着手できるよう尽力いただきたいと思います」
現場では6日も救出活動に向けた作業が続いています。
完成したばかりの第2のスロープを補強するためでしょうか、設置された鉄板。また、土のようなものを搬入する様子もありました。
埼玉県によりますと、現場付近の複数の箇所で地盤改良を行っているということです。
この陥没現場から約600メートル離れた場所では5日、ドローンによってキャビンが見つかったということで、現場では急ピッチで作業が進められています。
5日、県が下水道管の堆積物を確認するため、現場から約600メートル離れた下流のマンホールから超極小点検ドローンを入れたところ、陥没現場から100メートルから200メートルほどの場所に運転席部分と見られるものが見つかりました。金属製で白く、若干、変形しているといいます。
運転席の奥には堆積物があり、水をせき止めているということです。
6日はその運転席の奥、上流側からドローンで撮影したということです。
下水道事業管理者 北田健夫氏 「鮮明な画像で確認することができた。堆積物が閉塞(へいそく)している状況について、そこから水が噴き出している状況」
また、下水道管の中の水位は3分の1ほどで流れがあり、その上に運転席とみられる部分が出ているといいます。水位は上流側の方が高いといいます。
下水道事業管理者 北田健夫氏 「周りにがれきはなく、キャビンのようなもの単体でそこにある」 「(Q.運転手の安否は?)確認しておりません」
6日、現場ではマンホールに作業員が入っていく様子がありましたが、中には水が勢いよく流れていて、人が入れる状況ではないということです。
■現場でいま何が?専門家解説
では今、下水管の中で何が行われているのでしょうか。6日に現場を見た元東京消防庁レスキュー隊の田中章氏。救助はマンホールを使って行われると指摘します。
元東京消防庁レスキュー隊 田中章氏 「一番時間を要せず運転手のところに直接行けることを考える。既存であるマンホールから入り先遣部隊が入る。運転手を発見し、そのまま運転手を救助できるのか、挟まれているのか、何が必要なのかというのを無線で地上部隊に送る。そこからボディーを切ったり開いたりしないといけないとなれば、器具を投入し、救助活動が進んでいく」
そして今、そのために必要な“環境づくり”が行われているといます。
元東京消防庁レスキュー隊 田中章氏 「(下水管には)多くの水がある・空気がない、硫化水素の濃度が非常に高い。これだと救助活動をする環境が非常に悪い。硫化水素も非常に濃度が高いと一呼吸で人間が亡くなるくらいの濃度がある。そこを改善しないと動きは取れない。消防隊が入るには、このままでは入れない。水をなくす、新鮮な空気を入れて活動環境を整えてから救助隊が入る」
しかし、救助活動はより大掛かりになる可能性もあるといいます。
元東京消防庁レスキュー隊 田中章氏 「万が一、キャビンあるいは運転手ががれきの中にいるようであれば、少し重機で掘らないといけないと思う。その重機を入れる穴を道路の運転手がいるであろう一番近い道路に穴を開けて小型重機を上からつるして下ろし、隊員と一緒に行って少し重機で中をかき出しながら捜索活動も始めるのではないか」