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「心情等伝達制度」の光と影 開始から1年余りで課題も

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 事件の遺族らの気持ちを受刑者に伝える制度の開始から1年余りが経ちました。双方向のやり取りができる意義がある一方で、課題も見えてきました。

渡辺保さん(76) 「何の目的で娘を殺害したのかと、何か悪いことをしたのか、クエスチョンマークがずっと頭の中にあった」

 横浜市に住む渡辺保さん。25年前、娘の美保さんが帰宅中に殺害されました。捕まったのは美保さんの中学時代の同級生の男。無期懲役が確定しました。

 判決が確定して17年が経った去年の夏、渡辺さんが利用したのが「心情等伝達制度」。刑務官を通じて、自身の気持ちを受刑者に伝えるものです。しかし、返ってきたのは心ない言葉でした。

渡辺保さん 「『過去のことは忘れて今できることをやりたい。人生をやり直すことを考えている』。ふざけんな、過去にあったことをなかったことにする、そんな考え方しか持ってないのかよ、という思いですね」

 被害者の思いを託される側も葛藤を抱いています。

心情伝達を担当した刑務官 「被害者の方や収容されている受刑者、両方の気持ちや状況が分かるだけにすごく難しいかなと思います」

 日々、最善の伝え方を考え抜いています。

 さらに課題となっているのが「知名度」です。制度が始まったおととし12月からの1年間で、遺族の気持ちが受刑者に伝達されたのは113件にとどまります。

 法務省は広報に努めるとしていますが、最近になって、ようやく制度の案内がきた被害者遺族もいるといいます。

 制度開始から1年余りで見えてきた課題。それでも渡辺さんは重要性を訴えます。

渡辺保さん 「やめたら(受刑者の)思い通りになってしまう。絶対自分に対しても許せない」

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