春を彩るニッポンの風物詩「桜」が各地で危機に直面しています。一体何が起きているのでしょうか?(4月5日OA「サタデーステーション」)
■京都の桜の名所 老木化と伝染病が深刻
京都府の南丹市美山町。桜の名所「大野ダム公園」で行われる「さくら祭り」には毎年8000人ほどの観光客が訪れますが、今年は開花が遅れたうえ、“ある悩み”が…
美山町大野振興会 中村誠事務局長 「これ桜の木のソメイヨシノの枝ですね」
折れてしまった枝がありました。
美山町大野振興会 中村誠事務局長 「やっぱり50年、60年経っている桜がほとんどですので」
実は公園にある800本の桜の木の多くは老木化が進んでいました。それに伴って、木の伝染病も問題になっています。
美山町大野振興会 中村誠事務局長 「これが『てんぐ巣病』と言いまして、カビの一種が原因で伝染病になってます。花の時期に葉っぱだけが茂っているという状態になります」
「てんぐ巣病」とは、鳥の巣のように枝が異常に増える伝染病で、放置しておくと花が咲かなくなり、枯れてしまいます。この公園にあるソメイヨシノの半分ほどが、「てんぐ巣病」に罹っているといいます。市は対策として3年前に100万円の予算を捻出しましたが…
美山町大野振興会 中村誠事務局長 「100万円で大体この公園の「てんぐ巣病」の20分の1程度の処置しかできないということですので、継続的な作業をするためには毎年の予算が必要」
全国的にもソメイヨシノの老木化は深刻ですが、その対策は自治体の予算だけでは限界があるといいます。
そこで今、自治体によっては、ふるさと納税やクラウドファンディングなどで寄付金を集める動きが出始めています。他にも、大手ビールメーカーのキリンビールは、商品を購入すると一部が寄付される取り組み「晴れ風ACTION」を行っていて、寄付総額は1年で1億円を超えました。
花見客 「年に1回(花見の)楽しみがなくなると日本人としてすごく悲しいなと思うので、自分にできることがあれば守っていきたい」
■桜の保全活動 ニッポンの風物詩をどう守る?
桜の保全活動には「時間」も「お金」もかかるといいます。
報告・青木梨央ディレクター(5日 島根・雲南市) 「桜祭りの会場に来ています。歩いていると隣の人と肩がぶつかるくらい大勢のお客さんが来ています」
島根県雲南市、斐伊川沿いの桜並木は大正時代末期に植えられたもので、樹齢はおよそ100年。実はここでも、深刻な老木化に悩まされ、今年2月、桜の木が倒木しました。
桜の保全活動を行う 石田侑生さん 「老木化でどんどん枯れていく色んな菌にやられていく、病気の枝が増えていきますので、だんだん衰弱している」
桜の木を保護する「桜守」の石田さん。全国でも珍しく桜の木をイチから育てています。
桜の保全活動を行う 石田侑生さん 「ここは桜の苗木を育ているところです。去年3月種を撒いた桜です。大体150本くらい。老木倒れたところで捕植するためにソメイヨシノを育てているということです」
ソメイヨシノは、タネができる可能性が極端に低いため、他の品種に接ぎ木をして増やす必要があるといいます。こちらが育ててから5年目の桜です。ここまできて、ようやく花が咲きました。
桜の保全活動を行う 石田侑生さん 「これからいい花ができるぞと思ったら、すぐパッと枯れてしまう。大きくなって20年以上経つまで油断も隙もあったもんじゃないですね」
他にも桜の保全や手入れ、桜祭りの警備費など市は1800万円もの予算をかけていますが、それでも足りないと話します。
雲南市役所 産業観光課 高橋司次長 「民間企業さん、市内の企業さんからも寄付いただいたこともありますし、財源確保していただく意味では色んな方が桜に寄付をしていただくことは非常に大切なこと。これまで受け継がれてきた(桜は)老木ではありますけど、そういったところも大切にしながら景観を守っていきたい」
■別品種への植え替えも
高島彩キャスター 「東京の桜の見頃もそろそろ終わりを迎える中ではありますが、全国ではこの桜の老木が問題となっています。現在、別の品種に植え替えるという動きもあるそうですね」
仁科健吾アナウンサー 「その別の品種というのが「ジンダイアケボノ」という桜になるんです。一見するとソメイヨシノとあまり変わらないかなと思うんですが、実際に比べてみますと若干ピンク色が強いということなんですよね。ソメイヨシノは病気に弱く、管理が大変ということもありまして、日本花の会では「ジンダイアケボノ」を積極的に配布するようにしているんだそうです。同じソメイヨシノ系の品種なんですが、病気にかかりづらい品種だそうです」
高島彩キャスター 「柳澤さん、桜を愛でるのが好きな日本人にとって老木化問題、いかがですか?」
ジャーナリスト柳澤秀夫氏 「日本人にとって、春の桜は欠くことのできないものですから。ソメイヨシノは寿命が60年といわれてますからね。愛でるだけではなくて、しっかりと守って育てることを我々も大切にしなきゃいけないと感じましたね」
高島彩キャスター 「守って育てる、そのために予算もかかるということではありますけれども、改めて、色々な人の手で守られているということを感じながら桜を楽しみたいなと思います」