自民党の鶴保庸介参議院議員が「運のいいことに能登で地震があった」と発言をしました。釈明会見を開きましたが、議員辞職や離党については「考えていない」と否定しています。
■問題発言の前後含め1分47秒 全部聞く
問題の発言があったのは8日、和歌山での応援演説。鶴保議員が推し進める複数の居住地を設ける暮らし方「二地域居住」について説明している時でした。
「二地域の居住ができるようにしようと。総務省は、普通はこういう時には立ちはだかって反対をするんです。しかし、今回に至っては本当に協力的でした。むしろ率先してやってくれたと言ってもいい。また運のいいことに能登で地震があったでしょ。能登で地震があった時に、地震の上のほうであったのは、あの輪島だとか、あの…タマ…なんだっけあの上のほうね。能登半島の北のほうね、そういう地域で、根っこにある石川県の金沢とかああいうところから、そこの被災地域まで行くのに、まあ金沢も被災したんですよ。被災したんですが、その地域まで行くのに寸断された道をずっと上がって3時間、2時間半とか3時間かかります」 「被災者はその金沢に住んでいちいちいちいち、自分の被災した家を点検しに行くような作業をずっとしておられたわけですね。もういい加減、これ輪島市の市役所もないのに、金沢市に住んで新しい被災地域のための補助金もらうのに自分の住民票を、市役所がまともに動いてもいないところで3時間かけていくのおかしいじゃないかという話になって。結局、緊急避難的にですけど、金沢にいてでも、輪島の住民票が取れるようになっていったんですよ。やればできるじゃないかという話になってしまいました。チャンスです。だから、二つの地域で住民票登録はできるんだと」
能登半島地震で輪島から金沢に避難した人を例に挙げ、金沢でも住民票が取れるようになったことを報告。この例が、鶴保議員が推し進める「二地域居住」の促進につながると考えたのか、「運がいい」「チャンス」といった不適切な言葉を使ったようです。
■鶴保議員が謝罪「陳謝の上、撤回させていただきたい」
鶴保議員 「時間変えてすみません」
9日午前10時開始予定の会見は、11時に変更。5分ほど早く姿を見せました。
鶴保議員 「お忙しい中…」 記者 「時間早いけど…一応11時でまいているので」
度々飲み物を口にし、ソファに深く腰かけ会見開始を待ちます。そして、午前11時…。
「今回の発言につきまして、能登地方が被災したことを『運よく』などと発言してしまいましたが、思った発言では全くありません。陳謝の上、撤回をさせていただきたいというふうに思っております」
能登半島地震から1年半が経った9日も、がれきの撤去が行われるなど、いまだ残る爪跡。鶴保議員の発言に、石川県民は…。
「地震で被災した人からしたら、馬鹿にしてるのかなって」 「(石川の)北部半分に気持ちを寄せてもらっているということがすべて台無しになった。すべてチャラ。あの人の一言で。だから言葉というのは、人を殺す場合もあるし、人を助ける場合もあるし、人を勇気づける場合もある。もう少し言葉を考えて発しないとダメ」
被災者へコメントを求められると…。
鶴保議員 「本当に心苦しい思いをさせてしまったならば、陳謝以外ありません。私ども自分たちの仲間も募金を持って集めていただいて、わずか数十万円だったかな…程度のものではありましたけれども、被災地のほうへ持って行かせていただいた事実もあり、被災地の支援をさせていただく、その気持ちに変わりありませんから、どうか今回のことは失言であった、というふうなことでお許しを頂きたいと思います」
被災地支援の思いはあるとしながらも、問題発言の際には…。
鶴保議員(8日) 「輪島だとか、あの“タマ”なんだっけあの上のほうね。能登半島の北のほうね」
「タマ…」と言い淀んだ鶴保議員。「珠洲市(すずし)」が出てこなかったようです。
一方で、参院選のまっただ中に候補の選対副本部長という立場にありながら、今回の失言をしたことについては…。
「そんなデリケートな時期に不用意な発言をしたことは関係の方々、特に応援してもらっている人たち、私たちと思いを同じにする人たちにとってもですね、大変申し訳ないなという気持ちです」
■発言の責任について問われ…議員辞職・離党は否定
この会見で、被災者に向け「陳謝」「撤回」「反省」と口にしつつも、頭を下げることはなかった鶴保議員。今回の失言には、批判の声が上がっています。
立憲民主党 野田佳彦代表 「なんとズレまくった、失言のレベルではないと思います。(発言を)削除すればいいという話ではない」
小泉進次郎農水大臣 「言語道断な発言だと思います。今回、鶴保議員の発言は間違いなく被災地のみなさんや、そういった努力されている方にとって全く受け入れられない発言であって、そのことについてかばうことはできない」
発言の責任について問われた鶴保議員は…。
「私が責任を取るということで、みなさんの気持ちが収まるのであれば、どういう形であっても私はやぶさかではございません」
責任の取り方はどんな形でも構わないとしましたが、議員辞職・離党は否定しました。
記者 「議員の方の責任取り方というと、一番重いもので議員辞職、または離党される方もいらっしゃいますけど、現状そのことについては考えていますか?」 鶴保議員 「そこまでは考えていません、現状ですよ」
9日、自民党の森山裕幹事長は、こう述べました。
「これは震災に遭っている地域のみなさんの立場を考えると、発言としては極めて適切ではない。きょう、厳重注意をさせていただいた」
(「羽鳥慎一 モーニングショー」2025年7月10日放送分より)