立憲民主と公明が、新党「中道改革連合」を結成するという異例の決断に踏み切り、解散総選挙の構図は一変しつつある。野田佳彦・立憲民主党代表と斉藤鉄夫・公明党代表は1月16日に記者会見を開き、中道勢力の結集を掲げて、新党「中道改革連合」の結党を発表した。新党の枠組みは、衆議院議員は両党を離党し、新党に参加。参議院議員および地方議員は当面、各党に残留する。公明は小選挙区から撤退し、比例代表に専念、新党候補を支援する。綱領および基本政策は19日に公表を予定している。野田代表は会見で、「中道改革とは、生活者の視点に立ち、「生活者ファースト」で現実的な政策を打ち出すことと強調。斉藤代表も「日本経済の安定と平和を守ることこそが中道」と述べた。会見では消費税にも踏み込んだ言及があった。野田代表は、「政策の一つとして消費税減税を入れたい。立憲は食料品のゼロ税率を主張してきた。公明党も消費税減税を訴えてきた。赤字国債に頼らず、新たな財源も提示する」と述べており、食料品消費税ゼロを政策として盛り込む。政権幹部によると、高市総理が衆院選公約に、食料品の消費税を時限的に0%とする案を盛り込むことを検討しているという。
次期衆議院選挙に向け、各党が消費税のあり方について相次いで見解を示し、各党のスタンスの相違が鮮明となった。国民民主党は消費税について、「一律5%への引き下げ」を掲げる。れいわ新選組は、「消費税廃止」を訴える。日本共産党は、「一律5%減税そして廃止」。参政党は、「消費税廃止を訴える」と主張する。日本保守党は、「食料品の消費税を恒久的にゼロ」にすべきだと訴える。社会民主党は、「消費税はゼロ」との立場を示した。また、チームみらいは、昨年7月の参院選においては、「消費税減税に慎重になるべき」と掲げていた。
新党結成が選挙結果に与える影響は小さくない。時事通信が2024年衆院選の結果を基に行った試算では、「各選挙区で公明支持層の約1万票が自民党候補から立憲候補に流れた場合、35選挙区で当落が逆転し、自民97議席、立憲139議席となる」とされ、比例を含めて、立憲民主が比較第1党となる可能性が示された。自民党内からは警戒感が広がる。同党の小野寺五典税制調査会長は、「これまで公明党と協力して選挙を戦ってきた。逆の形の対応になれば、激戦区・接戦区で少なからず影響はある」と語った。党中堅議員からは「公明票が流れれば、焼け野原になるかもしれない」との声も漏れる。自民党内の不安に対して、麻生太郎副総裁は、「選挙に弱いやつは色々言う。『どっかとどっかが一緒になったからどっかが減る』とかは、かすみを食っているような話で、選挙に強いやつはそういうことをあてにしないで選挙している」と語った。
一方、新党結成には立憲民主党内からも反発が出ている。原口一博衆院議員はXで、「党員資格を一方的に剥奪できるのか。そんな党に誰が入るのか」と批判。また、党創設者であり、元代表の枝野幸男衆院議員も、「立憲民主党という名前にも、これまでの歩みに愛着と誇りがある」と複雑な思いを綴りつつ、「政治家としての責任を果たすため、最大限の挑戦に向き合う」と新党に前向きに参加する胸中を明かした。合流を呼びかけられた国民民主の玉木雄一郎代表は、「与党と野党に分かれていた政党が一緒になるが、その結集軸が極めてあいまいだ」と疑問を呈し、新党には参加しない方針を示した。
安全保障政策では、立憲が「違憲部分の廃止」を掲げる一方、2026年春に新たな見解を示す方針を示しており、主張の修正を視野に入れている。これに対し、公明は2015年の安保法制成立を推進した立場だった。原発政策でも、立憲は「原発ゼロ社会」を掲げる一方、公明は「地元理解を前提に再稼働を容認」としており、政策の隔たりは小さくない。新党がどこまで整合性を保てるかが問われる。新党結成をめぐっては、1994年の新進党との類似性も指摘されている。当時、公明党は「分党・二段階方式」を採り、新進党合流と独自活動に分かれた経緯がある。一方、斉藤代表は、「自民党と全面対決する党を作るつもりはない。第2新進党を目指すものではない」と強調した。
各党の目標も明らかになっている。自民は「与党で最低限、過半数確保」を掲げる。新党「中道改革連合」は約200人を擁立し、比較第1党を目指す。日本維新の会は前回(38議席)より議席増を狙い、国民民主は100人擁立で51議席を目標とした。れいわ新選組は前回並みの35人を擁立を目指す。共産党は全ての比例ブロックの議席獲得と議席増を掲げている。参政党は100人以上の擁立で30議席を目標、日本保守党は最低でも6議席、社民は「複数の衆院議員をつくる」と訴え、チームみらいは5議席以上を掲げる。ANNの世論調査では内閣支持率63.0%に対し、自民党支持率は36.7%と乖離が目立つ。
★ゲスト:林尚行(朝日新聞コンテンツ政策担当補佐役)、佐藤千矢子(毎日新聞専門編集委員) ★アンカー:末延吉正(ジャーナリスト/テレビ朝日政治部長)