演劇が認知症介護を救った実体験が元になっています。認知症介護をテーマに演劇をつくる岡山の劇団が、23日新作公演を行います。91歳の看板俳優が自身の経験を生かして熱演します。
(演劇のシーン) 夫「春江が食べる言うから、おいしいカレーを」 妻「言ってない、言ってない、カレー嫌いじゃけぇ」 夫「言うたんじゃ」
劇団「OiBokkeShi」は、老いや認知症をテーマに2014年から岡山で演劇活動をしています。劇団や脚本を作ったのは菅原直樹さん。新作では妻の認知症介護に苦しむ夫が、”演技”で救われる老夫婦の姿を描きます。
夫を演じるのは91歳の岡田忠雄さんです。
(劇団OiBokkeshi 主宰/菅原直樹 さん) 「今回の芝居はセリフ覚えがない舞台なんです。岡田さんの日常を元にしているので、普段どおり舞台の上で演じてもらえたらな」
岡田さんは10年ほど前から認知症の同い年の妻を自宅で介護し続けています。
妻・郁子さんのつじつまの合わない言動に腹を立てていた岡田さん。そんな時に俳優で介護福祉士の菅原さんと出会い、救われました。
(劇団OiBokkeshi 主宰/菅原直樹 さん) 「在宅介護の現場はとても大変な現場だと思うんですけど、そこに演じる要素を入れることによって介護の状況は変わってくるのではないか」
妻の認知症を演技で受け入れ、怒らなくなったといいます。 新作では自らの介護経験だけでなく、88歳で本格的に始めた演劇へのこだわりを熱演します。
(岡田忠雄 さん 91歳) 「私はこれ(演劇)が生きがいです。それとこれがあるから健康というか本当のぼけにはならないんじゃないか」
劇団「OiBokkeShi」の新作「ポータブルトイレットシアター」は、岡山市で23日午後7時から上演されます。