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97歳俳優が妻の介護体験を舞台化 認知症介護の苦しみ救った“演技”「これがあるから今まで生きてる」 岡山市

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 97歳の俳優を続ける岡山市の岡田忠雄さんが27日、舞台に立ちます。今回の作品は岡田さん自身の妻を介護した体験を演劇にしたものです。

 97歳で舞台に立つ岡田忠雄さん。27日の公演に向け稽古に打ち込んでいます。

(劇団OiBokkeShi/岡田忠雄さん)
「舞台が命と言いたいの。これがあるから今まで生きてる」

 岡田さんが所属する劇団OiBokkeShi。劇団の主宰・菅原直樹さんと岡田さんが出会い、2014年に立ち上がりました。

 今回の作品「ポータブルトイレットシアター」は2018年に初演した劇団の代表作。

(劇団OiBokkeShi/菅原直樹さん)
「『ポータブルトイレットシアター』といって、岡田さんの介護経験を基にした演劇なんですよね」

 岡田さんは、認知症の妻・郁子さんを自宅で10年以上介護してきました。

 つじつまの合わない言動で言い争いになり、手を上げたこともありました。苦しかった介護が劇団の菅原さんと出会い、あるヒントを得たことで救われたそうです。

(劇団OiBokkeShi/菅原直樹さん)
「認知症の人の気持ちを尊重する関わり方はボケを受け入れる『演技』なんじゃないか」

 岡田さんは、妻・郁子さんの話を否定せずに、肯定する「演技」をすることで感情に寄り添えるようになりました。そんな岡田さんの実体験から生まれたのが今回の作品です。

 しかし、初演から5年が経ち取り巻く状況も変わりました。

(劇団OiBokkeShi/岡田忠雄さん)
「家内が亡くなりました。何かもの言うてください」

 妻・郁子さんは2023年1月に永い眠りにつきました。

(劇団OiBokkeShi/岡田忠雄さん)
「生前はありがとう言うてよ。今の顔の方がいいが。あの時にけんかをしたのを映してくれたよ。思い出す? ねえ。ありがとう言うて。はい」

 妻をなくした今……。舞台に立つのも今を楽しみ、生きるため。

(劇団OiBokkeShi/岡田忠雄さん)
「おれがここまで生きられたのは、舞台が好きだから生きられたんよ。そうでなかったら、とっくに死んでる」

(劇団OiBokkeShi/菅原直樹さん)
「認知症介護、大変なこともあるんですけど、演劇の知恵を生かして明るく楽しむような視点を提示することができたらいいなと思っています」

 演劇「ポータブルトイレットシアター」は27日、岡山市の天神山文化プラザで上演されます。

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