存続で揺れていたさぬき市にある古代のサウナ、「から風呂」のニュースです。さぬき市は1月、運営の補助金を大幅にカットする方針を示しました。しかし、地元の保存会から「存続できない」という訴えを受けて、カット幅を2割に抑えた運営委託費を新年度予算案に計上しました。
13日に開かれた定例会見で、さぬき市の大山市長は新年度の一般会計当初予算案のうち、「老人福祉費」の中に、から風呂の運営委託料160万円を盛り込んだことを明らかにしました。
1300年の歴史があるといわれる、さぬき市昭和の「から風呂」。石室の中で薪を燃やした後むしろを敷いていて、蒸気で体を温めます。
風呂を炊く作業は、さぬき市社会福祉協議会の臨時職員、岡田俊郎さん(69)が行っており、その人件費として年間200万円を市が全額補助していました。
(さぬき市/大山茂樹 市長) 「週4日ずっと、お客さんが来ない中で炊き続けるのが(税金の使い道として)どこまで説得力があるのか」
さぬき市は1月、利用者の減少などを理由に新年度から補助金を半額の100万円程度にする方針を示しましたが、地元の人で作る保存会が「その額では存続できない」と訴えていました。
これを受け、さぬき市は金額を2割カットした上で、臨時職員の「人件費の補助」ではなく、「運営委託料」に名目を変更。岡田さんは、社会福祉協議会からは解雇されますが、保存会から「作業料」を受け取り、風呂炊き作業を行います。ただし、これまであった社会保険料などはなくなります。
(記者) 「風呂を炊く人がいなくなるという最悪の事態は、回避されました。ただ、この歴史的な施設をどうしていくのか長期的なビジョンが求められます」
大山市長は、福祉施設としての位置づけではなく、観光振興や文化財的な価値にスポットを当てることも含めて抜本的に運営を見直す考えを示しました。
(さぬき市/大山茂樹 市長) 「市としての努力も足りなかったと思いますし、保存会の皆さんも一度冷静になって税金の使い方として納得できる方法を一緒に考えませんか」
(から風呂保存会/松木正美さん(71)) 「やっぱり歴史と文化があるところですから。われわれも会員の意見や利用者の声を聞きながら、利用拡大に努めていきたい」