伝統の風景が1月で見納めとなります。金刀比羅宮の参拝客を乗せて長い石段を上っていく「石段かご」。
高齢者や足の不自由な人の「こんぴら参り」を長年支えてきましたが、担ぎ手の高齢化などから1月で営業を終えることとなりました。
午前10時。 90歳の廣恵さんは娘夫婦と一緒にこんぴら参りにやってきました。
(担ぎ手) 「それでは姫様参りますよ、それじゃあ担がせてもらいますね」
本宮までの785段のうち、途中の大門までの365段を運ぶ「石段かご」。江戸時代から続くといわれる「こんぴらさん」の光景です。
(家族はー) 「(Q.どんなご様子?)なんか楽しそうですよね。足が悪いので、なかなか上まではいけないので。お姫様気分になってほしい」
「石段かご」は、多い時には20人を超える担ぎ手がいました。 参拝客が減り一時営業をやめていましたが、1983年に現在の代表、田中武彦さんが復活させました。
かごは、こんぴらさんを訪れる様々な人たちを運んできました。しかし、1月いっぱいで長い歴史に幕を下ろすことになりました。
(石段かご/田中武彦 代表[72]) 「担ぎ手が高齢化で、一人減り、二人減りして、1年半前ぐらいから、この状態であればいつかは店を閉める時期が来るなと」
上り始めて約30分、かごは目的地の大門に到着しました。
(廣恵さん) 「(Q.乗り心地は?)最高です。かごかいている方に気の毒でね。あたしにはええ思い出になります、みんなに助けられて、ありがたいです」
1月末の営業終了までの予約客は15日が最後。くだりの365段もかごはしっかりと送り届けました。
(担ぎ手はー) 「やっぱり最後や思ったらな、さみしいな思った」 「最後までお客さんには笑顔でおらないかんという気持ちがありましてね、帰ってからはたぶん涙が出ると思いますけど」
(石段かご/田中武彦 代表) 「こんぴらさんお参りして、かご乗ったおかげで上まで行けましたと、そういったことが長年やってきて、かご屋冥利に尽きるってことですね。やりきったなという気持ちでいっぱいです」