ウクライナ情勢が私たちの暮らしにも影を落とし始めています。輸入小麦は、安定的に供給するため、日本政府が一括して買い付けし、製粉会社などに売り渡します。政府は価格を年に2回見直しますが、4月からは17%余り引き上げると9日に発表しました。
これは今の制度になった2007年4月以降、2番目に高い水準です。小麦高騰の影響について「うどん県」で聞きました。
うどん店は――
高松市のうどん店「ひさ枝」です。
(記者リポート)
「こちらのさぬきうどん店ではオーストラリア産の小麦25キロ入りを1週間に10袋以上使っています」
店で使っている25キロ入りの小麦粉は円安や輸送コストの高騰などで、この1年間ですでに400円以上も高くなっているそうです。
この他、天ぷら用の粉や油などでも値上げが続いています。
材料費の高騰、新型コロナによる客の減少に加え、さらに「海外の軍事侵攻」という想定外の事態に見舞われました。
(手打ちうどん ひさ枝/久枝了 社長)
「普通にね、利益が出るようにしたいけど、また値段が上がったとかは、こっち(お店側)一方でいいかなと。とにかく耐えます」
経営は厳しくなる一方ですが、しばらくは讃岐うどんのようにコシを据えて価格も据え置くそうです。
製粉会社は――
坂出市の製粉会社「吉原食糧」の吉原良一社長は高松空港にいました。
(吉原食糧/吉原良一 社長)
「去年から、すでに国際小麦相場は、上昇基調だったんです。2月に入ってからのウクライ危機ですよね。これが決定的でしたね。これが収まらないと小麦相場はなかなか落ちつかないと思います」
今後、小麦の価格はどこまで値上がりするのか? 東京の商社などでその動向を探るため、10日朝に飛行機で東京に飛び立ちました。
お好み焼き店は――
高松市内のお好み焼き店「ふみや」では、2021年秋の小麦の値上げに加え、食料油やガスの値上げを受け、3月2日からお好み焼きを50円値上げしました。
(お好み焼き ふみや/杉原文雄さん)
「大変失礼ですけれど、他人事だったことが他人事でなくなって来ている」
国の価格改定後、実際に製粉会社からの販売価格に反映されるのは、通常は2、3カ月後になるため、すぐに小麦粉の値段が上がるわけではありません。
次の値上げをいつするべきか、小麦粉を使う店では悩ましい日々が続きます。
(お好み焼き ふみや/杉原文雄さん)
「3月に上げたばかりだからね。私たちも思案のしどころです」
政府の価格改定は半年間の平均となりますので、ウクライナ情勢がより反映される10月は、さらに高騰する恐れもあります。