香川県の宇多津中学校の吹奏楽部は少子化により一時、部員数が激減しました。パートが足りず音楽が成立しなくなった課題を「部活動の地域展開」で乗り越え、活動を続けています。
地域クラブに移行してOBが所属可能に
四国水族館の来場者に演奏を披露するのは地元・宇多津中学校の吹奏楽団。
(来場者は―)
「すごくいい演奏だったと思います」
「(宇多津中の演奏を)聴いたことはたくさんあって、楽しく聴けました」
この団体は宇多津中学校の吹奏楽部が学校の部活動から地域クラブへ移行して作られたもの。
国は少子化による部員不足や教師の過重負担に対応するため、中学校の部活動の運営を学校から地域のスポーツ団体などに段階的に移行する方針です。
宇多津中吹奏楽部は少子化や新型コロナウイルスによる活動休止などの影響を受け、4年前には部員数が30人にまで激減。
しかし、現在約60人ほどで活動し、吹奏楽用の楽譜を演奏するうえでは十分な人数となりました。
それを支えるのが私服の団員たち。吹奏楽部のOBの大学生や社会人が地域クラブになったことで所属できるようになりました。
(元部員の団員は―)
「現役生でやっぱり限られた時間の中でやることだったので、やっぱりできなかったことが多かったんですけど、OBとして参加していくとやっぱり成長が感じられてとてもうれしい」
「懐かしいなっていうのとやっぱり楽しいな続けられてよかった。一緒にまたその中学校として(大会やイベントに)出られるのは楽しいしうれしいです」
「地域の人の表情が見えるのがすごく魅力的で、地域にちょっと貢献できているなっていう思いがあるので、これからも音楽続けたいな、吹奏楽続けたいなって思います」
香川県教委「部活動が成り立たない状況になる」
香川県教育委員会は今後、少子化の影響を受ける部活は増えていくとしています。
(香川県教育委員会事務局 保健体育課/増田一仁 指導主事)
「中学生の子どもの数はこれから先も大きく減少していって、今現在も昔に比べるとはるかに中学生の数は減ってきています。これから先さらに生徒数が減っていくと部活動が成り立たない状況になります」
香川県の中学生は2002年時点で3万人以上いましたが、2025年は2万4388人で約7000人減りました。
今後も少子化は加速し、2025年度の小学1年生が中学生になる2031年度には現在の8割程度まで減少する見込みです。
この少子化で一つの学校では大会などに出られない部活も出ています。宇多津中吹奏楽部もその一つでした。
2021年にはこれまで2・3年生50人で出場していたコンクールも、部員数が激減した年は初心者の1年生を入れた40人ほどで出場するしかなかったといいます。
しかし地域クラブへの移行でOBらを迎え入れ、60人を超えるほどまでになりました。そのOBらが戻ってくるきっかけになったのが……
OB「岩﨑先生がいるから戻ってきた」
(元部員の団員)
「やっぱり岩﨑先生がおられるので戻ってきた部分もありますし、ずっとおってほしいなと思います!」
クラブで指導を務める岩﨑義弘さん。宇多津中吹奏楽部の顧問を15年以上続け、今は教員をしながらクラブに指導員として所属しています。OBたちを勧誘してこのクラブを形作りました。
(指導員/岩﨑義弘さん)
「働き方改革もそうなんだけど、でも自分は吹奏楽に育ててもらって今があるっていうのがあるからどうしてもそれは返していきたい。この先も返していきたいし自分も好きだしっていうのが当然あったので、もう迷わずに指導員としてここから先も続けていきたいなっていう」
現役生とOBがお互いを高め合う
(現役生)
「(Q.お互いなんて呼び合ってる?)僕は先輩のことを『ぶー』って呼んでます」
(OB)
「(Q.呼ばれてどう?)色んな子が、あそこに座っている女の子とかも、あそこがまずトトロって言いだしたのでいろんなあだ名付けられとるんが多いですね。(Q.仲良くできて楽しい?)はい!」
(現役生は―)
「わかりやすいなって思います。合奏で自分で考えなきゃいけなかったけどOBの人と一緒にできるから大事なこととかを教えてもらったりできるのでとてもいいかなと思う」
「私が1年生で部活に入ったときに1回目のコンクールが終わってから(唯一いた)先輩が(引退して)いなくなってしまったんですね。すごく不安だったんですけど、地域移行になってからOBさんがたくさん来てくれるようになって、とても丁寧に教えてくれるようになったのでとても安心感がありました。隣に先輩がいるので」
(教えているOB)
「自分も新しい発見ができるので。(Q.どんな発見が?)自分だったら曲で言ったらここをこうして吹くけどこの子らはこうやって吹くんだなって、この違いとか、逆にこうしたほうがええんかなっていうのも」
宇多津中吹奏楽部は2024年、2025年と夏の吹奏楽コンクールではOBも参加して職場・一般の部に出場し県大会で見事、金賞を受賞。2024年は、四国支部大会にも進みました。
岩﨑さんが考える地域クラブならではの良さとは?
(指導員/岩﨑義弘さん)
「一つ何かを継続してやれるもの、特にもっとこうできたのにとかって思いながらやめていくよりも、もっとこうできたのにがそのまま時間をかけてできる場所とかものを一つ持っておくと、自分の生活スタイルも全然変わっていくと思うので、とにかく楽しんでこの先も続けてもらえれば。きょう来られるんだけどとか、きょう来たんだけどとか、来週いけるからとかっていうだけで入ってもらったら一番いいと思って。(Q.そういう場を作りたい?)そうそう作りたい」
(2026年3月2日放送「News Park KSB」より)