岡山県備前市は小中学校の給食費などを無料にしていますが、新年度からは世帯全員がマイナンバーカードを取得した場合に限り無料とする方針であることが分かりました。
12月16日付けで備前市教育委員会から小中学生らの保護者宛てに出された文書です。備前市は2022年度、新型コロナウイルス対策の交付金を財源に備前市立の学校の給食費と教材費などを無料にしています。
この文書では2023年4月から対象を変更し、児童・生徒の世帯全員がマイナンバーカードを取得した場合に限り無料にするとしています。また、保育園の保育料についても2023年4月から園児の世帯全員がマイナンバーカードを取得した場合のみ無料にすると通知しました。
吉村市長は出張中でしたが、担当する備前市教育委員会はKSBの取材に対し「市としてマイナンバーカードの普及を目指していて、その一環で交付率が低い若年層の取得促進を目指している」とコメントしています。
この要件変更については1月16日に開かれた市議会の常任委員会でも報告されました。
(備前市議会/中西裕康 議員)
「教育委員会が『マイナンバーカードを持っていなければ有料になる』と考えること自体が公平さに欠ける」
中西市議によりますと委員長を除く委員7人のうち3人がマイナンバーカードの取得を条件にすることを反対したということです。
(備前市議会/中西裕康 議員)
「学校給食や保育料を無料にするという、優れた子育て支援策をやってるわけですから、目的としても、子育て支援というところに力を入れてほしい」
一部の市民や保護者らも動いています。
(元小学校教諭/松下香さん)
「移住者の人もここは子育てしやすい町だいうことで、移住もしてきてるのに、なんかもう裏切るというか、市民を。そんな気持ちになります」
元小学校教諭の松下さんはマイナンバーカードの取得に関わらず給食費などを無料にするよう呼び掛けていて、オンラインの署名には20日朝の時点で2万5000人分以上が集まっているということです。
12月末時点で備前市のマイナンバーカードの交付率は67.6%で、岡山県の市町村で最も高くなっています。