重い障害がある子どもを専門に受け入れる「重症児デイサービス」が2022年、岡山県総社市にオープンしました。代表を務める男性は、自分の経験をもとに開業を決意しました。
総社市門田の多機能型事業所LaLa。重い知的障害と体の障害がある重症心身障害児や、日常的にたんの吸引などが必要な医療的ケア児を専門にしたデイサービスです。
総社市の子どもを中心に4歳から18歳の10人が利用していて、1日の定員は5人。看護士や保育士など、さまざまな資格を持ったスタッフ12人が子どもたちをケアしています。
(多機能型事業所LaLa/佐薙幸一さん)
「必ずマンツーマンで職員を配置するようにしていて、絶対に1人にする時間を無くそうということは徹底している。安全第一。そこからの療育活動」
2022年9月に施設をオープンした代表の佐薙幸一さん。佐薙さん自身も重い障害がある5歳の息子、海成君を育てていて、たんの吸引などの医療的ケアをしています。
以前はサラリーマンをしながら妻と2人で介護していましたが、2年前には双子が誕生。育児の負担が増えたことが施設をオープンするきっかけになりました。
(多機能型事業所LaLa/佐薙幸一さん)
「私も育休を取って、妻も育休を取って、2人で育ててきたんですけど、このまま私が育休明けてサラリーマンに戻ると、妻が3人をワンオペで見なければいけない。物理的に不可能だなと思って、家族が幸せになるには、今後どうしたらいいだろうと思ったときに、息子が安心して預けられる場所を近くにつくったら、それを私の仕事にしたらいいんじゃないかとふと思いつきまして」
知識も経験もない状態からスタートした佐薙さん。独学で制度を学びながら、クラウドファンディングなどで資金を集め、オープンにこぎつけました。
重い障害がある子どもは24時間付きっきりのケアが必要で、家族にもかなりの負担がかかります。佐薙さんは、「親の休息」も大切だと考えていて、少しでも親の負担を減らそうと、家や学校への送迎サービスも行っています。
(多機能型事業所LaLa/佐薙幸一さん)
「ここを使っていただいている間に自由な時間ができたっていう声もいただいているので、そういうところでも家族の支援ができているんじゃないか」
岡山県によりますと、県内に医療的ケアを必要とする子どもは約320人いるということです。
これに対し、LaLaのような重症児デイサービスは28日時点で18カ所ありますが、受け入れ可能な人数やカバーできている地域は不十分だそうです。
(多機能型事業所LaLa/佐薙幸一さん)
「今までは総社市の方を中心にお声がけさせていただいていたけど、今後は周辺の自治体の方とかにもぜひ使ってほしい」
重症児デイサービス「LaLa」では利用者が増えていて、送迎のための車が足りなくなっているそうです。クラウドファンディングで購入資金を募っているので、詳しくは一般社団法人KaiKaiで検索してください。