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演劇で「共に生きる楽しさ」を 老いや認知症をテーマに活動する劇団が新作公開 岡山

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 老いや認知症をテーマに活動する劇団が、岡山県奈義町で新しい作品を公開しました。役者の経験がほとんどない人たちが作った舞台は「共に生きることの楽しさ」を感じさせるものでした。

 岡山を拠点に活動する劇団「OiBokkeShi(オイ・ボッケ・シ)」が7月、岡山県奈義町で行った公演には330人を超える観客が集まりました。

(観客は―)
「感動しました。一人一人の個性とか、その人の良さがすごく表れていた」
「みなさん生き生きしていて、見ていて楽しかったです」

 舞台「エキストラの宴」は、出演する役者14人のうち、ほとんどが演劇未経験者です。

(劇団「OiBokkeShi」/菅原直樹 主宰)
「認知症の方がいたり、脳出血されて後遺症のある方、障害のある方、発達障害、脳性まひがある方も登場されます」

 その1人、西春華さん。脳性まひで足などに障害があります。

(出演者/西春華さん)
「こんなにがっつりやるのは初めて。楽しい。終わったら何していいか分からんぐらい、頑張ってる」

 西さんの母は壁に当たった時の春華さんの行動に、変化を感じていました。

(西さんの母は―)
「みんなに声掛けたり、声掛けて(稽古を)やったり、あなたはこの役って練習の時も、私が無理やり、いない人の役を振られたり、言うことを聞いてるみたいな。頼もしいなと思ってみている」

96歳の看板俳優「おかじい」

 西さんが演劇を始めるきっかけになったのはこの劇団の看板俳優でした。

(出演者/西春華さん)
「おかじいの演技がすごい楽しかった」

 「おかじい」こと岡田忠雄さん、96歳です。この劇団で88歳の時に本格的に演劇を始めました。当時認知症の妻を自宅で介護しながら舞台に挑んでいた岡田さん。求めたのは「生きがい」でした。

劇団「OiBokkeShi」/岡田忠雄さん
「僕は舞台のために生きてるんだから、心の栄養どころじゃない、命ですよ」

「やりたい」気持ちを尊重する舞台

 この作品は、役者が現実と似たような境遇の役を演じることで、その経験や個性を生かしています。

(劇団OiBokkeShi/菅原直樹 主宰)
「老いだったり、認知症だったり、障害だったり、そういったものと共に生きる過程で、自分のやりたいという気持ちを諦めてしまうことってあるんと思うんですよね。ただ、この演劇活動では、それぞれの『やりたい』という気持ちを尊重しながら活動できたらいいなと思っているんですよ。どんな劇世界を生きたいのか、自分たちで演じることでその世界を具現化していく。そうすると稽古場、舞台がみんなにとっての居場所になっていく」

 生きづらさを感じても、あきらめない役者たち。生まれたのは「やりたい」気持ちを尊重する舞台。その演劇は、個性を生かして「共に生きることの楽しさ」を、役者も観客も実感できる「物語」でした。

(劇団OiBokkeShi/菅原直樹 主宰)
「この奇跡に立ち会っていただいて、本当にうれしく思います。この出演者は、1年前そちら(客席)にいた方々です。何かやりたいなって思ったら、こちらの世界に入っていただけたらなと思います」

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