夏の高校野球岡山大会・香川大会は7月8日に開幕します。2023年もKSBでは高校球児の甲子園を懸けた戦いを「甲子園へのキセキ」として応援していきます。そのプロローグ、今回は岡山大会です。「選手コーチ」の立場でチームを支える岡山東商の2人。最後の夏を前に、2人はかけがえのない時間を過ごしました。
守備練習のノッカーを担当する寺門勇と、1年生部員の教育係を務める河原蒼太。2人は選手コーチ。
2023年の春、小林幸男監督からベンチ入りが難しいことを告げられました。
（岡山東商／寺門勇さん[3年]）
「最初は衝撃だったんですけど、甲子園に行くっていう目的は変わらないので、そのために自分ができることを精一杯しようと思いました」
（岡山東商／河原蒼太さん[3年]）
「左手首を骨折してしまって、その間に1年生を指導するという形で見させていただいて。（けがが治った後どうするのかって自分の中で考えた時に）このまま選手コーチとして、チームのためにできることはやりたいという思いが強くなった」
選手としてではなくチームを支えることで最後の夏を戦うことを決めました。
夏の岡山大会が開かれるマスカットスタジアムのグラウンドに6月、背番号付きのユニホームに身を包んだ2人の姿がありました。この日行われたのは、倉敷商業との記念試合。夏の大会でベンチを外れる可能性が高い3年生が中心に出場する、いわば「引退試合」です。
寺門は1番センター、河原は2番ピッチャーで先発出場しました。
東商1点リードの2回、チャンスで打席に立ったのは寺門。センター前にはじき返すタイムリーヒット！ 塁上で仲間と喜びを爆発させます。
（岡山東商／寺門勇さん[3年]）
「絶対初球から行ってやろうってずっと第1打席から思っていて、うまく捉えられて気持ちよかったです」
さらにセンターの守備でもはつらつとしたプレーを見せ、グラウンドで笑顔を輝かせます。
河原は2回以降ライトの守備につくと、こちらもファインプレーでチームを盛り立てます。
そして東商2点リードで迎えた9回、マウンドを託されたのは河原。しかし、ヒットとフォアボールで1アウト満塁のピンチを背負ってしまいます。
一打同点、長打が出れば逆転サヨナラ……。ベンチからはレギュラーメンバーの3年生が1球ごとに河原を励まします。
河原はこのピンチをゲッツーで切り抜け、試合終了。（岡山東商 6－4 倉敷商）
一足早く、選手としての引退を迎えました。
（岡山東商／河原蒼太さん[3年]）
「最後っていうのは前々からわかっていて、その中でこうやってみんなに支えられて、本当にチームっていうのを改めて感じた日でした」
チームとして共に支え合うことで最高の夏をより長く……。グラウンドで輝きをみせた2人はその想いをより一層強くしました。
（岡山東商／河原蒼太さん[3年]）
「3年生が良い状態で夏を迎えられるように、一生懸命『縁の下の力持ち』になって頑張りたい」
（岡山東商／寺門勇さん[3年]）
「自分のことをきょうは全員で支えてくれたので、支える立場として全力で死ぬ気で頑張りたいと思います」
