銭湯愛好家の集団が、昭和初期からあるという岡山県倉敷市の銭湯を訪れ、タイルと目地を美しくよみがえらせました。
16日午前10時、倉敷市の銭湯「昭和湯」に銭湯愛好家9人が機材をもって訪れました。
(県境なき目地団/松本康治さん)
「一時間ほど掃除をしてこすり落とす。きれいにしてから目地を削って、昼から目地詰めをすると」
彼らは経営者の高齢化などからメンテナンスが行き届かない昔ながらの銭湯に出向いて、タイルの目地とピカピカにする活動を行っています。
その名も「県境なき目地団」。関西の銭湯愛好家を中心に2020年に結成し、兵庫や大阪、広島などで活動してきました。
活動するときはSNSを通じて参加を呼び掛けています。
高松市から参加した理髪師の藤井さんは、週に1、2回は銭湯に通っているほか、関西の銭湯などに出張して髪を切っています。「目地団」への参加は今回が初めてです。
(理髪師/藤井一弘さん)
「元々古いものが結構好きで古いものの方が深みがあるし、やっぱりストーリーがあるからそういうものは大事にしていった方がいいと思う」
まずは表面の汚れを落とすために表面を洗剤で磨いていきますが、この日の倉敷市の最高気温は30℃を超えました。
(県境なき目地団/槙のぞみさん)
「暑い……。いいダイエットになります」
表面の汚れを落としたあとは、機械で目地を削ります。
昭和初期に創業したという「昭和湯」。2代目が6年前に亡くなり、現在は3代目である59歳の店主とその妻が、別の仕事をしながら週に3日から4日銭湯を営業しています。
岡山・香川では銭湯は減り続けていて、岡山県で6軒、香川県では休業中の店を含めて9軒です。
(県境なき目地団/松本康治さん)
「大事に残してきてくれはった。よくぞ残してくれはったなと。この活動で古い銭湯が残るかどうかはわからないんですけど、ここ面白いなという人が来てくれたら続いていけるかもなと思いますね」
機械で削った箇所に新たな目地を入れ、磨き上げると、白い目地に対して、本来のタイルの色である優しい水色が浮かび上がりました。午前10時から始めた作業は、気付けば午後6時半になっていました。
(理髪師/藤井一弘さん)
「見違えましたね。一番最初の時と比べると青いと思ってなかったですもん」
(別の人)
「タイルが2種類あるかと思ったね」
(理髪師/藤井一弘さん)
「入りたいですね、ここに」
(県境なき目地団/松本康治さん)
「我ながら感動します。まだまだ使えるお風呂だと思うんです。何もしなかったら何も起こらないんですけど、何かが起きるかもしれない」
「県境なき目地団」の活動は16日、17日行われ、ピカピカになった昭和湯の湯船には、18日午後5時から入ることができます。