いよいよ13日に試合が始まる夏の高校野球・岡山大会。岡山芳泉には片手で野球を頑張る球児がいます。大好きな野球に挑戦する勇気をくれた仲間とともに最後の夏に挑みます。
岡山芳泉・高橋護。生まれたときから左腕の肘から先がありません。
それでも、打つときは右腕で。守るときはグローブを持ち替えて…!
(芳泉/高橋護 選手 [3年])
「工夫しなきゃいけない部分っていうのはいっぱいある。でもやっぱり片手でも十分に野球はできるスポーツだと思う」
練習試合のグラウンドには父・宏行さんと母・真由美さんの姿もありました。
(母・真由美さん)
「生まれたときから、生まれて(疾患が)わかった。先生とかみんなもびっくりした感じで、腕を隠す子になってほしくなかったので、みんなに守られながらとにかく外に出してはいました」
両親の思いもあり、高橋は小さいころからいろいろなスポーツにふれてきました。
その中でも野球は特別なものでしたが……。
(芳泉/高橋護 選手)
「まず、大前提として野球はもともと大好きで。ただ高校入ってすぐのときはちょっとビビッてしまったというか、なかなか行動できなかった部分もあって野球部に入りたいという思いも持ちつつ、でもちょっとやめておこうと」
『野球をやってみたい』。でも、あと1歩の勇気が出なかった日々。
そんな高橋の背中を押してくれたのは、中学校からの仲良しで、野球部の珍行でした。
(芳泉/珍行拓人 選手 [3年])
「もともと中学校の時から仲が良くて、やりたくなくはなさそうだったので、なんか一緒にやろうって言っていれば一緒にやってくれるんじゃないかなと思って、やりたかったので一緒に」
そして高橋は2023年春、ついに野球部へ入部。
勇気をもって踏み出した高橋を待っていたのは、楽しさに満ちた日々でした。
(芳泉/高橋護 選手)
「1日1日のモチベーションっていうのがすごいできた。新しいことが出来るようになったり、上手いプレーができたりすると、とにかく楽しくてちょっとにやついてしまうみたいな」
(母・真由美さん)
「(Q.入部を聞いたときは?)今のように笑うしかなかったですけど、理由を聞くと自分も変わりたい、何かチャレンジして頑張りたいってはっきり言ったので、じゃあ応援しようと」
この夏のメンバー発表当日。夏の登録メンバー20人に対して芳泉の選手は22人。ベンチに入れない選手が2人います。
(芳泉/宗田晋太郎 監督)
「今から背番号を渡そうと思います。呼ばれたら取りに来てください……13番、高橋護」
一歩を踏み出した「勇気」と「挑戦」することで見つけた何物にも変えられない日々。かけがえのない仲間と野球ができる「楽しさ」を感じながら高橋はこの夏に挑みます!
(芳泉/高橋護 選手)
「始めたころを思うと本当に、ノックの時なんかもファーストやっていて全然捕れないし、けどその度に頑張ろう頑張ろうとなって、段々と試合でもしっかりと守れるようになってきた。いま思うとすごい頑張ってきたなって……。最後に先輩らしい姿をしっかり見せて頑張って勝ちたいなと」