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【特集】SNSで大人気 自閉症の娘を育てるお母さんのユニークすぎる日常 岡山・津山市

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 自閉症の娘を育てる岡山県津山市のお母さんが、SNSで人気を集めています。フォロワーは17万人超え。ユニークすぎる日常を取材しました。

記者「おはようございます」
由希絵さん「おはようございます」

 津山市に住む蓬郷由希絵さんと次女の中学1年、結衣菜さん。

(由希絵さんの次女/蓬郷結衣菜さん[中1])
「キウイ。(Q.キウイ好きなの?)うん、もちろん」

 結衣菜さんは、重度知的障がいを伴う自閉症です。中学校へ行く準備を済ませ、お気に入りのアニメを楽しんでいますが……

(由希絵さんの次女/蓬郷結衣菜さん[中1])
「(Q.何時に起きてるの?)4時に起きてるから」

 まさかの午前4時起き!

(結衣菜さんの母/蓬郷由希絵さん)
「『かーかん起きようか』って私の部屋に起こしに来る。マジ眠たい」

 物事に強いこだわりがある結衣菜さん。思春期特有の「こじらせ」で早寝早起きを続けているそうで……

(結衣菜さんの母/蓬郷由希絵さん)
「早く出る理由はお姉ちゃんよりも早く家を出たいという気持ち(対抗心)がある」

由希絵さん「結衣菜、まだ時間が早い」
結衣菜さん「なんで?」
由希絵さん「いつも出る時間より早そうだね。真っ暗だし……」

 早く登校したい娘と引き止めたい母……

(じゃんけん作戦)
「最初はグー、じゃんけんほい」

 あの手この手で対抗してみるものの……

由希絵さん「ゆっくり行きなよ、あせるな、あせるな…」
結衣菜さん「がっこう……」
由希絵さん「あ、すみません、すみません」

 ハイテンションで出発。まだ日が昇り始めたばかりです。

(由希絵さんの次女/蓬郷結衣菜さん[中1])
「いってきまーす」

 長ーい坂道が続く通学路。入学前に由希絵さんたちと何度も練習しました。

(結衣菜さんの母/蓬郷由希絵さん)
「1つひとつの動作に対して練習が必要。道が変わりますってなるとまた練習がゼロからいる、それが結衣菜だね」

生活に必要な動きを繰り返し教える日々

(結衣菜さんの母/蓬郷由希絵さん)
「この頃……(夫婦)2人とも笑ってなくて、とらえておかないと写真が撮れない状況」

(結衣菜さんの母/蓬郷由希絵さん)
「まず悲しむよな。やっぱり、自閉症ですと言われた瞬間は、どん底で『なんで?』って思ったし、もうこの子とこの世から去りましょうと思ったし」

 幼いころは言葉を話せず、自分の意思や感情を伝えられなかった結衣菜さん。

(結衣菜さんの母/蓬郷由希絵さん)
「大泣きすることもあったし地面に寝転がって駄々をこねることもあったし、それは冷たい冷たい目線をたくさん浴びてきた。出かけるのがめちゃくちゃ苦痛だったけど、この子は出かけなかったら何の経験もできないし、失敗も成功もさせられない」

 専門家のサポートを受けながら、生活に必要な動きを繰り返し教える日々。

(結衣菜さんの母/蓬郷由希絵さん)
「うちの子ってこんなんなんだよなってみんなに言えだして、うちの子ってこんなおもろい行動するんよ、お笑い芸人みたいだよな、みたいなことが言えだして、ようやく楽になった。衣食住がある程度できるところまではやらせたいし、安心して死にたい」

午後からの料理が日課

由希絵さん「お帰り、結衣菜」
結衣菜さん「ただいま~」
由希絵さん「頑張った?」
結衣菜さん「よし、頑張った」
由希絵さん「テストできたって?先生がほめてたよ」
結衣菜さん「ほめてた、えへへへ」
由希絵さん「ゆいなちゃんすごいって言ってたよ」

 地元の中学校の特別支援学級で学んでいる結衣菜さん。今は4時間目まで授業を受けて、午後からは由希絵さんと料理をするのが日課です。

(自分で自分を励ます結衣菜さん)
「ゆいな~、ファイトォ~!」

 時間をかけてあきらめずに練習を続けたことで、どんどんレパートリーが増え、手際もよくなりました。

由希絵さん「これなんですか?」
結衣菜さん「しょう油です」
由希絵さん「しょうゆうことです」
結衣菜さん「うん……しょう油です!」

家族の日常をSNSで発信

 そんな日常の様子を、由希絵さんは3年前からインスタグラムで発信しています。

 歌って踊って仮装する!? ひょうきんな由希絵さんとどこまでもマイペースな結衣菜さんのやりとりや、子育ての悩みや経験を共有するライブ配信など。

 同じ自閉症の子どもを育てる家族を中心に大きな反響が寄せられ、フォロワーは17万人を超えています。

(結衣菜さんの母/蓬郷由希絵さん)
「これを見て頑張ってくれたらうれしいのと、もっと自閉症という障がいを理解してもらいたいという気持ちがある。こんな子でも住みよい世の中になっていけばいいとすごく思っている。特別扱いしてほしいわけではなく、1人の人間として見守ってほしい」

全国から講演会の依頼

 そんな由希絵さんに、全国から講演会の依頼が寄せられるようになりました。

 2024年12月、岡山県美咲町の小学校へ。

(結衣菜さんの母/蓬郷由希絵さん)
「こんにちは~!」

 保護者らが見守る中、まさかの仮装で登場!

(結衣菜さんの母/蓬郷由希絵さん)
「いらっしゃいませ、いらっしゃいませ」

 見た目はちょっとクセが強めですが、話はいたって真剣です。

(結衣菜さんの母/蓬郷由希絵さん)
「本当に大変でした、小さい頃。本当におさるさん状態。言葉も分からない、そんな子をどうやって育てようと思って。根気のいる毎日同じ作業。小さいことも教えないといけない。スタートがあってゴールがあることを伝えてきたんですね。苦手なことはしないのではなく誰よりも早く練習することを心掛けて生活してきました。本当に1つのことを習得するまでに年月はかかるんですが、当たり前のことを当たり前にできるように」

(結衣菜さんの母/蓬郷由希絵さん)
「私の発信でより前向きに子育てできたり、障がいがあってもお母さんも笑って過ごせたりできるといいなと思ってヒントを持って帰ってもらいたいし、笑って帰ってほしいし」

由希絵さん「結衣菜になってみたい」

 2024年のクリスマス、結衣菜さんが初めてケーキを作りました。

(結衣菜さんの母/蓬郷由希絵さん)
「結衣菜が初めて。動画である程度作り方を見て自分で作っている」

 ケーキを食べようとした結衣菜さんでしたが…

(由希絵さんの次女/蓬郷結衣菜さん[中1])
「もう、イライラする、食べてくれよ」

 どうやら、一生懸命作ったケーキを由希絵さんと一緒に味わいたかった様子。

 コミュニケーションが苦手な結衣菜さんは、怒りや不安などをうまく伝えられない時に大きな声や態度で感情を表すことがあります。

(結衣菜さんの母/蓬郷由希絵さん)
「結衣菜になってみたい。結衣菜になってこう感じているんだな、こうしてあげないといけないなって分かりたいとすごく思う、何回も思う。私がいれば『こう言えばいい』と伝えればいいけど、それも練習しないといけない」

由希絵さん「結衣菜、かーかんと寝るの好き? 1人で寝るのとどっち好き?」
結衣菜さん「かーさんと寝るからな」

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