20日、岡山・香川の多くの地点で最高気温が30℃を超え、2025年初の真夏日となりました。これからさらに暑くなっていきますが、6月から職場における熱中症対策が「義務化」されます。怠れば、罰則が科されることになります。企業側も義務化に向けて取り組みを進めています。
気温が上がってきて注意したいのが「熱中症」。岡山・香川の労働局によりますと、職場で熱中症になり4日以上休んだ人は2024年、岡山県で15人、香川県で17人でした。
岡山県早島町で物流倉庫を建設する現場です。暑くなってくると過酷な状況になるといいます。
(荒木組 社員は―)
「炎天下の中作業を長時間やることもしばしばあるかなという。汗はすごく出ますね」
本格的な夏を迎える前の6月1日、職場での熱中症対策が「義務化」となります。熱中症の疑いがある人を早く見つけ、症状が重くなるのを防ぐことが目的です。
もし対策を怠った場合は6カ月以下の懲役または50万円以下の罰金です。
対象となるのは暑さ指数が28以上、または気温が31℃以上の環境下で連続1時間以上、または1日4時間を超える作業です。
(松木梨菜リポート)
「こちらの工事現場では熱中症対策として新たな取り組みを始めようとしています」
荒木組が6月導入するのが手首に装着する機器。
(荒木組 安全課/山下雄輝 副課長)
「各現場に支給して各作業員さんの体調管理を進めていこうと。装着された方の心拍や体温、作業している動きであったりとかそういったものを測定して管理する機器になります」
暑さによる負担と作業負担を指数化することができます。パソコンで1人1人の状況をリアルタイムで把握でき、熱中症リスクが「ほぼ安全・注意・危険」の三段階で表示されます。
(荒木組 安全課/山下雄輝 副課長)
「今までは個人の感覚。調子悪いなと個人の感じたところだけで(の判断で)したので。自身の体調の見える化っていうところにもつながると思います」
現場では、これまでも経口補水液などを作業員に支給したり、テントにミストを設置したりして対策を講じてきました。
2024年は、冷却プレートで体の表面温度を下げることができるベストを導入するなど、年々熱中症への対策は手厚くなっています。
さらに、熱中症への対応を示したポスターを掲示。企業が従業員らに対応などを周知することも義務付けられたのです。
(荒木組 安全課/山下雄輝 副課長)
「年々気温が高くなってきていますので。管理する熱中症対策の上で重要になってくると思います」
熱中症による死傷者が増加傾向に
なぜ、今回職場での熱中症対策が義務化されたのか。その理由は職場での熱中症による死傷者が近年増えているんです。
厚生労働省によると、夏の職場での熱中症の死傷者は以前と比べほぼ倍になる年もあるほど増加傾向にあります。
さらに分析によると、熱中症で死亡に至るケースでその要因となるのが「初期症状の放置や対応の遅れ」だということです。こうした熱中症で死亡災害に対策が必要となったわけです。
その義務化で対象となる作業は「暑さ指数」が「28」以上、または気温が31℃以上の環境下で連続1時間以上、または1日4時間を超えるものについてです。
気温が31℃以上の環境下というのは平年7月中旬から9月上旬ではほぼ毎日、該当しますが、暑さ指数28というのはどういうものなのか。
暑さ指数とは気温だけではなく湿度などの要素を加味して熱中症の危険を判断する指標です。同じ気温の場合、湿度が高い方が暑さ指数が上がるので熱中症のリスクが高くなるんです。
ですので、梅雨の時期は湿度が高いため汗が蒸発しにくく熱が体にこもりやすいので、とくに梅雨型熱中症に注意が必要です。
こうした中でこの時期に行う学校行事について対策が進められています。
学校の運動会・体育祭でも対策を強化
(岡山中央中学校/藤田貴史 副校長)
「9時ごろになると日差しが強くなるので、少しでも日差しが少ないところで競技を行いたいと思って10分間早めにしました」
岡山中央中学校では、体育祭で開始時間を10分早め8時45分にスタートします。
この時期、多くの小中学校で運動会や体育祭が行われます。各学校では対策を強化しています。
(岡山中央中学校/藤田貴史 副校長)
「テントを用意して生徒や保護者の方にも日陰を用意しながらやっていく予定です。早めに暑くなっている傾向がありますので、徐々に体を慣らしていきながら。水分補給などをこまめに行いながらやっていきたいと考えています」
2025年夏は前年以上の熱中症対策を
また、2025年の夏は2024年以上に熱中症に警戒が必要になると、岡山地方気象台では注意を呼び掛けます。
(岡山地方気象台/堀川和久さん)
「立て続けに気温が高い記録を更新しておりますので、そういった意味では(熱中症の)リスクは高まっているかと思われます」
気象庁が20日発表した3カ月予報によりますと、6~8月の夏の時期は気温が平年に比べて高くなる見通しだということです。2024年以上の熱中症対策をしてほしいと呼びかけます。
(岡山地方気象台/堀川和久さん)
「熱中症アラートを発表してまして、アラートが出たときに関しましては激しい運動や長時間の活動を控えていただきたいかなと。高齢者とか小さい子どもがかかりやすいので、その方に対してはよりケアしていく」
まだ暑さに体が慣れていない時期ですので、2024年以上の対策をするという気持ちでみなさんも考えほしいと感じます。