2026年2月に開かれるさぬき映画祭で、香川県東かがわ市のしょうゆ蔵を舞台にした映画が上映されます。その監督を務めたのは、4人の子どもを育てる松田恒代さんです。今回、初めて挑戦する監督の裏側に密着しました。
2025年2月、高松市で映画の製作発表がありました。その映画は「ワタシ、発酵します!」
監督と脚本を務めるのは神奈川県に住む松田恒代さん(45)。2024年、「さぬき映画祭シナリオコンクール」で大賞を受賞し映画化が決まりました。
(監督・脚本/松田恒代さん)
「香川の美しい景観やしょうゆができていく過程だったり、そういうものを通して明るい未来を目指せるような、そんなことを伝えていけたらなと思う」
映画は、香川県のしょうゆ蔵を舞台に主人公の女性が自分自身に向き合いながら前進する姿を描きます。
普段は4人の子どもを育てる母
「映画監督」は今回初めてという松田さん。普段は1歳から中学3年生まで4人の子どもを育てる4児の母でもあります。
(監督・脚本/松田恒代さん)
「授乳中だからまだ夜中寝る時寝られないな」
撮影が始まった2025年3月から約半年間の間に、1歳の娘を自宅がある神奈川県から香川県へ3回連れて撮影に臨んでいました。
(監督・脚本/松田恒代さん)
「ベビーシッターさんが来てくれる時もあるし、スタッフが順番に見てくれるんです。やっぱりいると声が入ったり、私も集中できないから見てもらっています」
きかっけは娘の授業参観
育児に奮闘しながら香川では映画の監督として奮闘。この映画を作ろうと思ったきっかけは、次女の小学校へ授業参観に行った時でした。
(監督・脚本/松田恒代さん)
「よそのお母さんが前に出ていって私の息子には食物アレルギーがありますって言ったんですね。そのお母さんが毎日給食の時間後ろで見守りますという話を聞いてこれは問題だなって思ったんです」
松田さんは普段フードコーディネーターとして働き、食物アレルギーをもつ親子が学校給食を楽しむための活動などもしています。
(監督・脚本/松田恒代さん)
「学校給食そのものの問題、それから親子の心の疎外感の問題、それから日本全国にみんながアレルギーの教育が行われていない、同じ教育を受けていないということが問題だなと。これが多くの人に知ってもらうにはどうしたらいいかなと。『映画だ』と思って」
松田さんは今回監督に挑戦したことで自身に変化があったといいます。
(監督・脚本/松田恒代さん)
「どうしようとか、うだうだする時間をなるべく減らせるようになったかな。色んなハプニングが起きても考えてどう対処するかしっかり取り組むことですかね」
キャスト「お母さんみたいな存在」
この日はカメラのレンズを何度ふいても水滴がついてしまうほどの大雨。撮影時間も限られているため、急遽、雨の設定に切り替えました。
(監督・脚本/松田恒代さん)
「(娘が)バスケットボールに行く直前に、3番目(の子ども)が牛乳瓶1L落として割って牛乳まみれだしガラスまみれだし、行く前にやっとくはずだった宿題、洗濯ものを畳む、やってなくて、次女がぶちぎれ。多分家が牛乳臭くなっている。やだよー」
そして、撮影でも……
(監督・脚本/松田恒代さん)
「頑張れしんちゃん、いいのいいの。しんちゃん頑張っているから」
チームを鼓舞します。そんな松田さんのことをキャストは……
(主演/中村樹里さん)
「お母さんみたいな存在です。朝起きたら『ご飯食べなよ』とか『おにぎりあるから』とか『お腹すいてる?』とか『お腹すいたよね』とか、友達っぽくもありながらお母さんみたいな距離感で接してくださる」
(主演/田中菜月さん)
「お母さんだからかみんなのことをケアしたいというところで作品のホスピタリティみたいなところはあるなと思って。監督が食とかも大事にしたいというので裏側も発酵しています」
さぬき映画祭で上映へ
(監督・脚本/松田恒代さん)
「良いですね。オッケーですクランクアップですお疲れ様でした!」
9月7日、半年間にわたる撮影を終えました。
(監督・脚本/松田恒代さん)
「自分のわがままにこれだけの方を巻き込んでしまってありがたいなと感謝につきます」
映画は2026年2月7日、さぬき映画祭で上映される予定です。
(監督・脚本/松田恒代さん)
「内面をうつしだすような静かな映画になるつもりなので、見た人が胸をきゅっとつかまれるとか、見た後にちょっと前向きになれるとか、じんわりしてもらえる、そういうふうになればいいな」
(2025年9月25日放送「News Park KSB」より)