水面を覆い尽くす緑色の物体「ウォーターレタス」と呼ばれる水草の大繁殖が熊本で問題となっています。
■一面緑!熊本でウォーターレタスが大繁殖
緑鮮やかな草原に見えますが、川です。水面を覆い尽くしているのはウォーターレタスと呼ばれる水草です。
熊本県中部を流れる加瀬川ではウォーターレタスが大繁殖。一体なぜ、こんなことになってしまったのでしょうか。
熊本河川国道事務所 緑川下流出張所 井上雄輔所長 「繁殖力が非常に強くなっておりまして、ここ数年は非常に気温が高い日が続いていると、夏場にですね。そういったこともありまして繁殖環境に非常に適した条件になってしまっているというところが(大繁殖の)一因かなと思います」
ウォーターレタスはアフリカ原産の多年生の水草。100年ほど前に観賞用として日本に持ち込まれて以降、今や西日本を中心に全国で確認され、特定外来生物に指定されています。
熊本県では加瀬川の上流にある江津湖から徐々に広がり、現在では熊本市内の小さな川や住宅地にある水路などでも繁殖。
寒くなると枯れて腐敗することから、水質の悪化や生態系への悪影響、下流の有明海に流れ着くことで「アサリ」や「のり」の養殖に被害を与えることも懸念されています。
昨年度、除去や焼却などにかかった費用は熊本市と国で合わせて9600万円。水草刈取船や重機などを使う大掛かり作業を行っていますが、とにかく繁殖力が強く、根絶するには至っていません。
水に浮くレタスのように見えることから、その名が付いたウォーターレタスですが、食べることはできないのでしょうか。
おおさか環農水研 生物多様性センター 山本義彦主任研究員 「葉っぱの表面に少し硬い産毛のような毛がたくさん生えていまして、あまり舌触りも良くないと聞いています。食用に使っていたという話は存じ上げておりません。元々、日本の植物ではありませんので、日本の生き物がこれを利用して生活するということもあまりないものになります」
ウォーターレタスにとって「天敵」がいないことが大繁殖している一因になっています。
■ウォーターレタス除去“秘策”は?
おおさか環農水研 生物多様性センター 山本義彦主任研究員 「実は、私がいる大阪の淀川では2000年代の初頭ぐらいに大発生しまして、大変な問題になったんです」
実はかつて大阪の淀川で大繁殖し、社会問題化したことがありました。その淀川では、こんな方法でウォーターレタスの除去に成功しています。
おおさか環農水研 生物多様性センター 山本義彦主任研究員 「冬になると枯れる植物であると。冬の間に少ない状況で取る。春、芽吹いたものを見つけ次第、どんどん取っていく対策が非常に重要かなと思います」
ウォーターレタスが増える前にいかに除去できるか、これから春先までの作業が重要だといいます。
おおさか環農水研 生物多様性センター 山本義彦主任研究員 「できるだけ冬の間に取る、春先に取る。見つけ次第、駆除していくことで重機を使ってやらなくても少ない労力で、人手でできる範囲でできる可能性がありますので、増える前にどんどん取ることでやっていくしかないかなと」