時速194キロの車による死亡事故で、大分地裁は「危険運転致死罪」を認めました。一方で、求刑より軽い判決に遺族は複雑な心境を明かしました。
■時速194キロ死亡事故に「危険運転」
時速194キロでの死亡事故は危険運転致死罪。今後の参考になりそうです。
裁判長 「主文、被告人を懲役8年に処する」
弁護側が過失運転致死罪を主張するなか、28日に大分地裁は危険運転致死罪を認め、被告に懲役8年の実刑判決を下しました。
被告の男はじっと動かず、判決を聞いていました。
事故が起きたのは3年前の2021年の夜。大分市の法定速度60キロの県道で当時19歳の被告が運転する時速194キロの車と交差点を右折していた車が衝突。
この事故で小柳憲さん(当時50)が亡くなりました。
小柳さんの遺族をサポートする団体が作った「夜に時速194キロで走行する車の再現動画」。上が194キロ、下が60キロです。
被害者目線で見てみると、あっという間にヘッドライトの光が通り過ぎました。
被告は取り調べに対し、買ったばかりの外車で「何キロ出るか試してみたかった」などと話していたといいます。
裁判長は判決の理由について、194キロのスピードが「制御困難な高速度」だったとしました。
裁判長 「ハンドルやブレーキの操作のわずかなミスによって、事故を発生させる実質的危険性があると認められる速度での走行と言える」
検察側が懲役12年を求刑するなか、懲役8年の判決だったことに裁判後、亡くなった小柳さんの姉が複雑な胸の内を明かしました。
亡くなった小柳さんの姉 長文恵さん 「危険運転致死罪で認められることはとても大きなことだと思います。量刑については自分のなかでは8年と聞いた時に、その後の裁判長の話は全く耳に入らない思いがした」
危険運転致死傷罪の適用条件を明確化する動きは進んでいます。
今月27日、法務省の検討会で速度などについて基準を設けることが考えられるとした報告書がまとめられました。
具体的には規定の最高速度の2倍や1.5倍とすることが考えられるという意見が出ています。