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【対ロで金融制裁を米検討】融和姿勢も牽制“支援再開と和平交渉”トランプ氏の次策は

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トランプ米大統領は3月3日、ウクライナのゼレンスキー大統領が、「ロシアとの戦争終結に向けた合意は非常に遠い」と述べたことについて言及し、自身のSNSで「最悪の発言だ。米国はこれ以上我慢しない」と批判した。トランプ氏は「私が言っていたとおり、米国の後ろ盾がある限り、この男は和平を望んでいない」とも述べ、ウクライナに対するすべての軍事支援の一時停止を発表した。両国首脳は2月28日に行われたホワイトハウスでの会談で、記者団を前に激しい口論を繰り広げ、予定していたウクライナの鉱物資源を巡る協定の署名を見送っていた。

ゼレンスキー氏は3月4日、「トランプ大統領の強力な指導力の下で、永続的な平和を実現するために、協力する用意がある」と投稿し、停戦交渉に対する意欲を示した。これに対して、トランプ氏は4日の施政方針演説で、ゼレンスキー氏から鉱物資源協定の締結とロシアとの停戦交渉に応じる姿勢を表した書簡を受け取ったことを明らかにし、謝意を示した。ウォルツ米大統領補佐官は5日、ウクライナのイェルマーク大統領府長官と電話会談した。和平と安全保障に関する協議再開のために、両国当局者が間もなく協議することを双方で確認した。米国とウクライナの高官協議は11日に、中東サウジアラビアで開催される見通しとなった。

トランプ氏は3月3日、ウクライナに軍事支援の一時停止を強行した。ロシア側がこの機に攻勢をかける見方が強く、戦局を左右する可能性が指摘される。米国はこれまで、ロシアの弾道ミサイルを撃墜する地対空誘導弾「パトリオット」のほか、高機動ロケット砲システム「ATACMS」を供与している。また、ロシアのミサイル発射、攻撃の際に必要な標的データなどの軍事情報をウクライナに共有している。米CNNは4日、米国がウクライナに供与を停止したパトリオットの弾薬が、近く底をつく可能性が出ていることを報じた。また、CNNは7日、米国がウクライナへの軍事支援を停止して以降、ロシアは大規模空爆を実施し、巡航ミサイル約70発、ドローン約200機で、インフラ施設を中心に攻撃をかけた。中東カタールのニュース専門局「アルジャジーラ」は6日、ウクライナ軍指揮官の情報として、「ウクライナ東部から南部の約1300キロの前線沿い配備されている部隊が、諜報活動の約90%を米国の情報取集に依存している」と報じた。

米国によるウクライナへの軍事支援の一時停止を巡る報道を受けて、ロシアのペスコフ大統領報道官は4日、「真実ならば、ゼレンスキー政権に和平プロセスへの関与を促す決定となるだろう」と述べた。また、ラブロフ外相は6日、「欧米諸国の情報支援がなければ、ウクライナはロシア領土をミサイル攻撃できないと、プーチン大統領は何度も述べてきた。ロシアの主張が認められたものだ」と米国を評価した。米中央情報局(CIA)のラトクリフ長官は6日、「軍事面でも情報面においても、この一時停止が解除され、我々はウクライナと肩を並べて、仕事をすることになるだろう」と述べ、支援再開の見通しを示した。米ブルームバーグは7日、政府高官の話として、鉱物資源の協定署名で、支援再開に至るかは不明であると報じた。

トランプ氏は3月7日、自身のSNSで、ウクライナへの攻撃を続けるロシアに対し、停戦と平和に関する和解協定が締結されるまで、金融制裁や関税措置の発動を検討していることを明らかにした。融和的な姿勢をロシアに向けてきたが、トランプ氏が訴える早期停戦に向けて強く牽制する狙いがあるとみられる。一方、英ロイター通信は6日、複数の関係筋の情報として、トランプ政権が、ロシアとの紛争から逃れたウクライナ人約24万人の一時的な在留資格の取り消しを検討していることを伝えた。早ければ、4月にも実施される。トランプ氏は6日、「われわれは誰かを傷つけようとしているわけではないし、彼らを傷つけようとしているわけでもない。それが適切だと考える人もいれば、そうでない人もいる。近いうちに決定を下すつもりだ」と述べた。

★ゲスト:峯村健司(キヤノングローバル戦略研究所)、山添博史(防衛省防衛研究所) ★アンカー:杉田弘毅(ジャーナリスト/元共同通信論説委員長)

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