トランプ氏はロシアに対して「大規模制裁を検討する」とSNSで厳しい態度で望む姿勢を見せた数時間後、会見では「ロシアと取引する方が簡単だ」としました。トランプ氏の真意はどこにあるのでしょうか?
■ウクライナ“切り札”に ロシア軍猛攻
Q.やっと着いたね? (ロシア軍兵士)「(スジャの)ポグレブキ村の標識に到着しました。この村は我々のものだ」 ウクライナが和平交渉の“最大の切り札”を失ってしまうかもしれません。 (ロシア軍兵士)「アメリカの装甲車ブラッドレーがここに来ましたが、我々のドローンが2回攻撃し完全に破壊しました」 イギリスのテレグラフ紙は7日、ウクライナ軍が一部占領しているロシア西部のクルスク州で、兵士1万人が包囲の危機にあると伝えました。 ウクライナ軍は、去年の夏に越境攻撃を仕掛け国境付近の街・スジャを占領していましたが、ロシア軍が防衛線を突破、アメリカからの情報共有の停止で監視能力が弱まったところで、ロシア軍が主要道路への攻撃を開始したということです。 ロシア領であるクルスク州の一部を占領していることは、和平交渉での大きな切り札ですが、ウクライナが近く撤退を余儀なくされる可能性があると、欧米の複数のメディアが指摘しています。 ウクライナ各地をミサイルやドローンで攻撃しているロシア軍。東部のドネツク州では集合住宅などに着弾し11人が死亡、47人がけがをしています。 (ゼレンスキー大統領)「ロシアは戦争を終わらせる考えはなく、世界が戦争の継続を許している間に、どのように占領を拡大するかを考えている」
■すり寄り一転「ロシアに大規模制裁」
軍事支援を一時停止するなど、ウクライナへの圧力を強めているトランプ大統領。 (トランプ大統領)「いまロシアはウクライナを激しく空爆している。率直に言って、ウクライナとの取引は難しくなっている。最終的な和平という点では、ロシアと交渉する方が簡単かもしれない。すべてのカードを握っているからだ」 Q.なぜウクライナに防空ミサイルを提供しないのか? (トランプ大統領)「いい質問だ。ウクライナが和平を望んでいるか分からないからだ」 ロシア寄りの姿勢を鮮明にしていますが、自身のSNSではロシアに対しても圧力を強める姿勢を示しています。 (トランプ大統領のSNS)「最終的な合意が達成されるまで、ロシアに対する大規模な銀行制裁や関税を検討している。ロシアとウクライナ、手遅れになる前に今すぐテーブルにつけ」
■プーチン氏 和平で“譲歩せず”強調
これに対し… (死亡したロシア兵の母親)「(2022年)3月28日に私は息子が死亡したことを知りました。」 (プーチン大統領)「息子さんについて…、コメントするのは難しい。彼らは間違いなく英雄だ。」 プーチン大統領は戦死した兵士の母親との会合で、和平交渉について譲歩する考えがない姿勢を示しています。 (死亡したロシア兵の母親)「和平が訪れたとき息子たちはようやく安らかに眠れます。しかし最後までやり遂げなければなりません。誰にも屈してはいけません」 (プーチン大統領)「我々は屈服するつもりはない」 (母親)「ありがとうございます」 (プーチン大統領)「我々は他人のものは一切必要としない。我々のものを放棄することはありません。我々は自分たちにふさわしい、そして長い歴史的視点から見て、我が国の安全を保証するような平和を自ら選ばなければならない。」
■欧州で“核の傘”議論が活発化
トランプ大統領は、NATOに加盟する「ヨーロッパ各国」に対しても圧力を強めています。 (トランプ大統領)「もしアメリカが困った状態になって、彼ら(NATO)を呼んだとして、『困っているんだ、フランス、困っている』と言って、彼らが守りに来てくれると思うか?そういう決まりだが怪しいものだ」 アメリカを頼りにできない状況に、マクロン大統領はフランスの「核の傘」をヨーロッパに広げる可能性に言及しています。 (フランス マクロン大統領)「ヨーロッパの未来は、ワシントンやモスクワで決めることではない。フランスの核抑止力を、ヨーロッパの同盟国の保護について戦略的な議論を始めます」 この発言についてプーチン大統領は…19世紀にロシアに攻め込んで失敗したフランス皇帝「ナポレオン」を引き合いにこう皮肉りました。 (プーチン大統領)「ナポレオンの時代がどう終わったかも忘れ、その時代に戻りたがっている人々がまだいる」 (母親)「男たち(ロシア兵)がいるからうまくいかないわ」 (プーチン大統領)「はい、言いたかったのはそれです」 さらに、ウクライナの隣国、ポーランドの首相は… (ポーランド トゥスク首相)「戦争に備え、すべての成人(18歳以上)男性に訓練を受けさせます。」 すべての成人男性を対象に軍事訓練を義務化する方針を発表し、核兵器の保有の検討も必要だと述べました。
■トランプ氏「日本は米国守る必要ない」
そしてトランプ大統領の圧力の矛先は「日本」にも… (トランプ大統領)「我々は日本を守らなければならないが、日本は我々を守る必要がない。直接は関係しないが、日本はアメリカとの間で大もうけしているのに。日本はどんな状況でも我々を守らない。いったい誰がこんなディールを結んだんだ」 (日米安保条約に反対するデモ 1960年)「学生たちは津波のように押しかけた。乱闘はかつてないほどの激しさ、警棒の雨が学生たちの頭に降り注いだ」 (岸信介総理大臣(当時))「本日は日米両国にとりまして、まことに意義のある歴史的な日であります」 1960年に日米安保条約を現在の形に改定したのは、日本の岸信介首相とアメリカのアイゼンハワー大統領です。 (石破茂総理大臣)「日本はアメリカを守る義務はない、それはそうだ。じゃあ日本はアメリカに基地を提供する義務というのを負っていますよね。トランプ大統領がこう言ったから『わぁびっくり』『わぁ大変』ということだと私は思っていないのです」
3月9日『有働Times』より