昨日26日夜、佐賀県にある玄海原発の敷地内に、ドローンとみられる3つの物体が侵入しました。原発の正門にいた警備員が目視で確認したといいます。専門家は「よその国が対処能力を探りに来た可能性もある」と警告しています。
■ドローンか 原発に“3つの物体”侵入
九州電力・玄海原子力発電所。きのう26日の午後9時ごろ、敷地の上空で、ドローンと思われる3つの光が確認されました。 (玄海原発の近隣住民)「テロだったら怖い」 玄海原発があるのは、佐賀県の北西部に位置する玄海町で、海に囲まれた立地にあります。九州電力によりますと、正門付近で、警備員4人が目視で光に気付いたとのことです。 こちらはその光が確認された、26日の午後9時ごろ、玄海原発を映した映像です。時折、施設の鉄塔などから光が発せられていますが、ドローンのような物体が飛んでいるかは確認できません。 3つの光る物体は、ばらばらに動いていたといいます。 その約40分後に「原子力施設の運転に影響を及ぼす恐れがある核物質防護情報」の通報が、原子力規制庁にありました。
「核物質防護」とは、何を意味するのでしょうか? テロ対策などを研究する機関の専門家は… (公共政策調査会 板橋功 研究センター長)「簡単に言うと、核施設のセキュリティーをいかに守るか。国際的な基準に基づいて防護対策、セキュリティーをとらなくてはいけない。」 板橋氏によりますと、「核物質防護」の通報があるのは、めったにないといいます。 ドローンとみられる光は、その後なくなり、原発の安全性に問題はないとしています。ただ、近隣住民からは、不安の声が。 (玄海原発の近隣住民)「原発の区域に行くと警備員が結構いて、厳重警戒の体制かと思っていたが、意外と空からだと入れるのかと思った」
■「他国の情報収集も」専門家が指摘
原発にドローンが侵入したとしたら、誰が何の目的で飛ばしたのでしょうか?専門家は、考えられる最悪の可能性として… (公共政策調査会 板橋功 研究センター長)「本当に悪意を持った攻撃、例えばドローンに爆発物を積むとか」 2015年には総理官邸の屋上にドローンが落下。ドローンに取り付けられたプラスチック製容器の、すぐ近くで毎時1マイクロシーベルトの放射線量が測定されました。 また、ロシアがウクライナの原発を攻撃したとされる際には、ドローンが使われたとみられます。 これはアメリカのNGOが発表した資料です。北東アジアの原発が他国に攻撃されたときの被害をシミュレーション。その中で、玄海原発が攻撃された場合、日本で避難する人は133万人近くに及ぶとしています。 (公共政策調査会 板橋功 研究センター長)「安全保障上の情報収集。他国の機関が行っている(可能性も)否定はできない」 「ドローン攻撃」に詳しい専門家は、原発への“侵入”の目的について、こう推測します。 (電通総研経済安全保障研究センター 部谷直亮 主席研究員)「目的としては探知能力と対処能力の検証。見つける能力と落とす能力を確認しに来たのだろうなと。いざという時に攻撃できるように、日本の能力を知りたかったと。他国かそういう集団」 今回のような想定外の事態に備えるために必要なことは? (部谷直亮 主席研究員)「(警備員の)目撃証言だけというのは探知が弱いのでは。探知の部分を強化していく必要が特にある」
7月27日『有働Times』より