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タイ“僧侶キラー”を逮捕 隠し撮りして金銭要求か 背景に僧侶の特権?

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 タイで“僧侶キラー”と呼ばれる女が、17億円以上を脅し取ったとして逮捕された。これに仏教国のタイが揺れている。

■隠し撮りして金銭要求か

ウィラワン・エムサワット容疑者(35) 「あなたが恋しいです」

 タイで“僧侶キラー”と呼ばれる女が逮捕された。ウィラワン・エムサワット容疑者だ。10人以上の僧侶らと性的関係を持ち、多額の金を脅し取ったとされている。

 地元メディアによると、地位の高い僧侶を狙って寺院にお布施に行き、悩み相談を装って距離を縮め、恋愛関係へと持ち込んでいたという。

 僧侶を虜にし、「魔性の女」とも呼ばれていた、ウィラワン容疑者。

 ある僧侶とSNSでこんなやり取りをしていた。

ウィラワン容疑者 「私がいなくなったらあなたは寂しく思いますか?」 僧侶 「あなたの心には、他に誰かいるのですか?」 ウィラワン容疑者 「いいえ。他の誰かを求めたことは一度もありません」

 「会いたい」と書かれたスタンプを送るウィラワン容疑者。すると、僧侶の熱い想いがあふれる。

僧侶 「あなたは私の一目ぼれの相手です。あなたは私の人生の光であり、孤独から私を導いてくれる存在です。もし、あなたが私を愛していると言ってくれたら、もう空想の中で夢を見る必要はありません。私はあなたを絶対に手放しません」

 他にも、男女関係にあったとみられる僧侶と言い争う映像も。

ウィラワン容疑者 「なんで私から逃げるの?」 僧侶 「僕に死んでほしいの?」 ウィラワン容疑者 「なんで死ぬの?」 僧侶 「どうぞやってくれ!!」 ウィラワン容疑者 「だめよ~」 僧侶 「やってやるよ」 ウィラワン容疑者 「そんなことしちゃだめ」

 女は性的関係を隠し撮りし、その映像を公にすると脅して、金銭を要求していた疑いがあるという。

 被害に遭った僧侶の中には、寺の金銭を不正に入手し、女に渡していた者もいたとみられている。そして、過去3年間で女の銀行口座には、17億円以上が送金されていた。

 だが、ウィラワン容疑者は、脅し取った金の大半をオンラインのギャンブルに使い、口座の残金は、3万5000円ほどだったという。

■なぜ僧侶が?背景に特別な特権か

 なぜ、僧侶が狙われたのだろうか?背景には、タイにおける僧侶の特権が関係している。

 僧侶には多くの特権があり、例えば、バスや船などの公共交通機関は無料、電車には優先席もあるという。他にも、僧侶専用の病院があり、治療費は無料だという。

 そんな僧侶は修行年数などによって序列が決まり、大きく3つに分かれている。

 まずは一般的な僧侶、その一つ上が、寺院の運営や育成に貢献した上級僧。さらにその上が、高度な仏教学を修めた高僧となっている。

 そして、高僧ともなると、手にするお金も多くなる。タイの平均月収は日本円で、およそ11万円。高僧の月収は、およそ14万円だが、お布施は僧侶個人宛にもらうことができ、最低でも毎月およそ45万円となるそうだ。

 今回の事件では、このような高僧などがターゲットになった。

 一方で、タイの僧侶を巡っては、不祥事も問題になっている。

 6月、タイ南部のプーケットにある寺院の僧侶が年下の僧侶を拳銃で撃ち殺害、逮捕された。

 そして、5月には、1851年に建てられた由緒ある寺院の僧侶が、お布施などおよそ13億円を横領し逮捕。違法なオンライン賭博をしていた可能性があるという。

 さらに4月には、タイ東北部のスリンにある寺院の僧侶が覚醒剤を密売していたとして逮捕された。

 このような事態を受け、タイではある動きが出てきている。

 タイの仏教事情に詳しい中京大学の岡部真由美准教授によると、「最近の不祥事は金額が莫大であったり、利害関係者が多くいるなど、規模が非常に大きい。僧侶の問題は、タイ国民の最大の関心事の一つで、“タイの仏教を守るため”、僧侶に関する制度改革に向けた議論が活発化している」ということだ。

(「ワイド!スクランブル サタデー」2025年8月2日放送分より)

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