1日から始まった瀬戸芸の夏会期。初参加となる「引田エリア」と「志度・津田エリア」の見どころを紹介します!
「みんなの手 月まで届く手袋を編もう!」
「引田エリア」では国内外のアーティストが6作品を展示しています。
さまざまな色の布で作られた巨大な手袋が、三日月に手を伸ばしています。
ロシア人の絵本作家、マリーナ・モスクヴィナさんの絵本の世界観を、夫で現代美術家のレオニート・チシコフさんと引田の人たちが立体作品で表したものです。
明治時代、引田地区に手袋産業を伝えたとされる棚次辰吉にインスパイアされた作品で、辰吉が作った片一方だけの「てぶくろくん」が宇宙を冒険するという物語を空間全体を使って表現しています。
(絵本作家/マリーナ・モスクヴィナさん)
「この町の特徴は何世代にもわたって手袋が作られてきたということ。きのうある女性が彼女の母もその母も、そしてその母も手袋を作り続けてきたと話してくれた」
「積層される情報」
(記者リポート)
「こちらの大漁旗をモチーフにした作品。近づいて見てみると……ペットボトルの蓋を使って作られているんです」
縦3.5m、横5mの旗。引田にそびえる翼山を背に、引田名産のブリが大きくジャンプする様子が、ピクセルアートで躍動感たっぷりに表現されています。
(作者/沼田侑香さん)
「ここ(引田)は港町だったので、たくさん船に(大漁旗が)掲げられていたが、いまはデジタル社会になってきて(使われなくなった)。昔の記憶を改めて見ていただきたいというのも含め、大漁旗をモチーフに作品を作った」
引田エリアでは他にも、町の人へのインタビューから生まれた作品や、商業船の模型を奉納する伝統を復活させるプロジェクトなど、見どころ満載です。
「時間との対話」
「志度・津田エリア」からは、さぬき市の景勝地・津田の松原に突如現れた作品を紹介します。
松の枝から垂れ下がったレンズが日光をきらきらと反射し、あたりは幻想的な雰囲気に包まれています。
カナダ出身の作家ブラウンさんとギャレットさんは、松の木の大きさや古さに驚き、レンズ1万枚以上を使って「森の精霊」を表現したそうです。
レンズを覗けば、津田の松原の歩んだ時間を感じられるかもしれません。
瀬戸内国際芸術祭の夏会期は、8月31日まで開かれています。