高松市の讃岐国分寺が東京都の彫刻家に発注した大日如来像を巡り、両者が対立しています。高松地方裁判所は彫刻家が寺側に公開を禁じた申し立てを7月28日付で却下し、寺が仏像を公開し展示をすることを認めました。
高松地裁の決定によりますと、「この仏像は寺と彫刻家の共同著作物であり、著作権は両者が有すると解するのが相当だ」としています。そのため彫刻家が寺に対して開眼法要などで自分の承諾なく仏像を公開してはならない、とした仮処分の決定を取り消しました。
この仏像は空海が平安時代初期に造った大日如来像を再現しようと、高松市の国分寺が2013年に東京都の彫刻家に発注したものです。
決定によると仏像の製作期間は当初は3年とされていましたが、作業は大きく遅れ、寺にも引き渡されませんでした。そのため、2023年9月、寺が彫刻家に対して仏像の引き渡しを求める仮処分を東京地裁に申し立て、認められたことから、仏像は寺に引き渡されました。その後、彫刻家は高松地裁に公開の差し止めを求める仮処分を申し立てていました。
高松地裁は取り消しの理由として「彫刻家側が開眼法要を阻止することを目的として、差止請求権を行使することは著作権法上の権利の乱用にあたる」としています。
(讃岐国分寺/住職 大塚純司さん)
「公正で妥当な司法判断だったと受け止めています。1日も早くこの仏像を組み立て公開することで、ご寄付いただいた方々の信頼と願いに誠実に応えたい」